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#05 ページ5

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「……だよね」

返ってきたエイジの声もいつもとは全然違う。

切なげで、苦しげで、消え入りそうな声。



「エイジも、辛い恋してるんだ」

確かめるように言ってみると

「……」

と、彼は黙り込んだ。

図星なんだ。

何だか可笑しくなってこっそり笑うと

「笑うなよ」と軽く睨まれた。

「でも、何か意外。
エイジなら直ぐにでも付き合えそうなのに」

「知らないの? 俺って案外、純情なんだよ」

そう言うエイジに、

再び笑うと彼も同じように笑った。



教室の窓から見える冬の晴れた空は高い。

澄み切った空気に鼻がツンと痛くなる。

視界の端に映る赤い髪と、

少し離れたところにある君の背中を見て

何となくセンチメンタルな気分になった。



*



「A、帰ろー」

放課後、そう声を掛けてきたのは

エイジではなくそら。

この上なく嬉しい筈なのに

私の心は何処か曇っていた。

「うん、ちょっと待って!」

教室の扉の所に立っている彼に言って

鞄を肩に掛けた。



「……嫌なら断れよ。そしたら、俺と帰れる」

隣の席の彼が

そらに聞こえないよう小さな声で言った。

「嫌じゃないし!エイジより全然いいよーだ」

「あっそ! じゃあさようなら、バカA」

いつものように軽口を叩いてエイジと別れ、

私は早足でそらの元へ向かった。



「やっぱ仲良いよね」

歩き出すなり彼は言う。

「誰があんな奴!
てか私、他に好きな人いるし!」

ただ誤解して欲しくない一心で

口走った一言に、後悔しても時既に遅し。



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作者名:小桜ふわ | 作成日時:2017年11月25日 1時

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