#27 ページ27
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「私、どうしたらいいかな……」
声を震わせる千夏ちゃん。
私は何て言うのが正解なの……？
─────彼女が、
もっと悪い人だったらよかったのに。
救いようのないくらい悪者なら
“そらが別れたがってる”と聞かされても、
喜べたかもしれない。
でも……、
こんなに一途にそらを想っている彼女に
辛そうな顔をさせたくなかった。
「だ、大丈夫だよ。 きっと、大丈夫」
私の言葉に千夏ちゃんが顔を上げる。
「そんな簡単に千夏ちゃんから
気持ちが離れるわけないよ！」
何を言っているんだろう、と思った。
心の奥底の、目を背けてきた醜い自分が
ずっと願っていた状況なのに
私は─────。
二人が別れるかもしれないという
その状況を作った『気になる人』なんて
いませんように……。
そらの錯覚で、気のせいでありますように……。
そんなことを、願ってしまった─────。
「Aちゃん……」
彼女が泣きそうな表情をする。
「千夏ちゃんなら、きっと大丈夫だから」
私の心も泣いていた。
「ありがとう。 本当に、ありがとう」
────もう今更、
背に腹はかえられない。
後戻り出来ない。
諦めるしか、なくなってしまった。
*
千夏ちゃんが先に席を立ち、
私は一人座ったままぼんやりとしていた。
「！」
ふと正面に誰かが座る。
揺れる赤い髪を見て思わず目を逸らした。
「お人好し」
その言葉に確信する。
……やっぱり、聞かれていた。
「盗み聞き？ 趣味悪いー」
「違うわ、あほ。
たまたま居合わせただけだし」
何でもない振りをしようとしたけれど
エイジのようには上手くいかなかった。
笑顔を浮かべようとしてみても
頬が強張って言うことを聞かない。
「無理すんなよ」
安心感を与えるような声が聞こえて
大きな手が優しく私の頭を撫でた。
ぐしゃぐしゃになるじゃん、って
いつもみたいに言い返そうとしたのに。
「……っ」
声が出なくて、
代わりに一粒の雫が落ちていった。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年11月25日 1時
