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翌日のお昼。
「Aちゃん」
そんなふうに声を掛けてきたのは
驚くことに千夏ちゃんだった。
「ちょっと話があるんだけど……
お昼、一緒に食べない？」
にこにこと可愛らしい笑顔の彼女は
自身のランチバッグを掲げて言った。
「え……あ、うん、一緒に食べよ」
私は戸惑いを隠せないまま
机の横に掛けてあったランチバッグを
手に取り、立ち上がる。
「ランチルーム行こっか？」
私の言葉に彼女はこくりと頷いた。
それほど仲が良いとは言えない間柄なのに
何故、今日 突然私を誘ったのだろう。
しかも“話”って……。
頭の中を駆け巡る疑問符たち。
その答えは彼女だけが知っている。
*
「それで、話って？」
お弁当を食べ始めて少し経ったとき
私は本題に入った。
千夏ちゃんが箸を置いたので
私もそれに倣って、手を止める。
「Aちゃんって、
そらと仲良いよね……？」
その言葉に どくん、と心臓が鳴る。
「あっ、あの勘違いしないで！
それを責めようとしてるわけじゃないの」
困惑した私の様子を見て
彼女が慌てたように言った。
「あのね……」
「？」
私は真っ直ぐ彼女を見据える。
「そら、私と別れたいみたい」
「えっ!?」
発した声に自分でも驚いた。
あまり大き過ぎたようで
ルームにいた人たちの視線が集まった。
「あ、ごめん」
慌てて口を抑えて縮こまる。
「でも、何で急に？
二人とも凄く仲良かったのに」
思ったことを口にすると
千夏ちゃんは眉を下げて笑った。
「他に気になる人が出来たみたいで……」
気になる人─────？
直ぐにはピンと来ない。
確かにそらはモテるけれど
彼が一途だってことはよく知っている。
「私はまだ好きだけど……それなら尚更、
そらのこと応援しなきゃだよね」
彼女が辛そうに俯く。
咄嗟に言葉が出なかった。
今まで、そらのことがあって
千夏ちゃんには勝手に苦手意識を
抱いていたけれど
今日しっかり話してみて、知った。
そらの好きになったこの子は
本当に優しい子なんだ、ってこと。
自分の醜さが恥ずかしくなる。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年11月25日 1時
