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それは、唐突な告白だった。
『今まで本当のこと言えなかったけど……
俺、本気でAのことが好き─────』
戸惑った。
困惑した。
どうすれば良いのかわからなかった。
私にとってエイジは仲の良い友だち。
たまたま席が隣になって、
それで仲良くなった“友だち”。
授業中や休み時間に喋るとか、一緒に帰るとか、
そういう友だちなんだ。
今まで私はエイジのことを
そういうふうに────恋愛対象に
見たことがない。
勿論、エイジもそうだと思っていた。
私がそらのことを好きだと知っていたのに
知っていても尚、
私を好きでいてくれたんだ……。
(でも、それなら───)
彼の“辛い恋”の相手が
他の誰かを想う私だとするなら。
悲しいけど、
辻褄が合ってしまう─────。
(嘘じゃ、ないんだ)
出来ることなら嘘であって欲しかった。
だって、そうならば
彼にこんな儚い
心が泣きそうになることもなかった。
「ごめん……。
私、エイジの気持ちには応えられない…」
消え入りそうな声で
何とか“答え”を絞り出す。
「……うん、わかってた。 困らせてごめん」
エイジは透明な笑顔を浮かべた。
思わず惹き込まれそうになって
慌てて視線を逸らす。
「まぁ、Aはそらにベタ惚れだもんね」
「うるさいなー」
先ほど一瞬流れた固い空気は
『嘘』のように消え去っていた。
いつもの緩い空気。雰囲気。
「じゃあ、帰ろ。 暗くなる」
「そうだね。……今度こそ、また明日」
踵を返して家路を辿る。
歩いていくその背中を時々振り返った。
「……はぁ」
心臓が、ドキドキというよりは
バクバクと破裂しそうだった。
誰かの想いを拒むっていうのは、
告白を断るっていうのは、
こんなにも勇気がいるんだ。
明日も、この先も、
彼は私と“友だち”でいてくれるだろうか。
そう、望んでくれているだろうか。
────わかんない。
「わかんないよ……」
だけど、そうであって欲しい。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2017年11月25日 1時
