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白い文字で表示されているその文章。
とても現実味がない言葉の数々。
「……馬鹿じゃないの？」
テレビの前に立っていた男子が半笑いを浮かべる。
「これ、ドッキリかな？」
と、さすがのカンタさんも苦笑していた。
【殺し方は自由ですがKCNを用意しています】
「KCNって何？」
後方からそんな声が上がった。
大人っぽい女子だ。
高校生ということは
その身を包んでいる制服で分かった。
それとなく周囲を見回してみると
他の人たちも皆制服を着ていた。
とは言っても学校はバラバラで
共通しているのは
高校生ということくらいだろうか。
「DQNのいとこじゃね？」
誰かが少し笑ってそう答えるが
「────青酸カリ」
というカンタさんの冷たい声で
空気が固くなった。
「……」
【殺せなかった場合、全員死亡します】
突きつけられる言葉を、
どういう感情で受け止めたらいいのか分からない。
これは現実？ それとも、悪い夢？
【参加拒否したり、この建物から脱出したり、
他人の役柄カードを見たり、
その他ルール違反した人は死亡します】
「役柄カード……？」
最初にDVDを再生した彼が
自身のポケットを探り何かを取り出すと
私たちに背を向けて確認していた。
あれが、役柄カード？
周囲にいた人たちも彼に倣って
自身の役柄カードを見ている。
私も同様にポケットを探った。
それはベストの内側の
ブラウスの胸ポケットに入っていた。
カードには
鍬を持った人間らしき抽象的なシルエットと
『村人』という二文字。
思わず、ほっと息をつく。
良かった……人狼じゃなくて。
「ふふふふっ……」
場の緊張状態とはおよそ似つかない笑い声が
すぐ隣から聞こえた。
(さぁや……？)
先ほどまであんなに怯えた様子だったのに
急にどうしたのだろう。
「私は参加を拒否して
この建物から脱出します」
笑いを止めると、
彼女は凛としてそう宣言した。
「行こう、Aちゃん」
さぁやが歩き始める。
私は反射的にその手を掴んで引き止めた。
「待って、本当にやばいよ、やばいって！」
「ちょっと……！」
カンタさんも同じように声を上げる。
しかし何が彼女を突き動かしているのか
さぁやは歩を止めない。
やがて彼女が建物の外へ一歩を踏み出した。
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作者名：小桜ふわ
| 作成日時：2019年3月19日 9時
