第16話 忘却の彼方、その先のイケメン ページ17
ー6月ー
5月の体育祭を終え、じめじめとした梅雨を迎えた。
私たちミニ四駆ダンス部は現在活動をしていない。部室が工事で使えなくなったから、というのが表向きの理由だが、それだけではもちろんない。
「はぁ…」
体育祭フィナーレ、全校生徒が注目していた場面でだ。
マッシュ先輩が旗を落としたその瞬間がフラッシュバックする。頭痛が酷い。
「Aちゃーん」
「わぁっ!?」
わたしの背後を取っていたらしい。
「…お、長七くんかー…」
「うんうん。Aちゃん、暗い顔してないでさー、ちょっと話そうよ」
「…うん。いいよ」
ーーー
「ねー!シーズ君!すごいかっこよかった!」
「ファインプレーだったよなー」
「あっ、あとメイちゃんがプレス機だったよね」
「そうそう、王宮宮がまさかシルク・ド・ウンピを習得してるなんてな」
「うん!神田君がナンセンスパーフェクションだったことも意外でーーー」
「色んなことがあったよね、体育祭」
「楽しかったなぁ…」
「きっと部活もさ、どうにかなるよ
ンチンレンプンサトッワクャヒゴコンウ」
ああ
そうだ
そうだった、この、この感じ
この懐かしい感じ
そしてその正体が、いま、分かった。
ー10年前ー
「Aー!ほら、こっちからならよく見えるぞー!」
「む、むりだってぇ…」
その人はとても高い木に登って、私が望んだものを見せようとしてくれていた。
「 」
「へ…」
「嫌な気持ちや、怖い気持ちを吹っ飛ばせるおまじないだ。ほら、早く。ここまでおいでよ」
ーーーー
「ンチンレンプンサトッワクャヒゴコンウ…。ほんと、分かりづらいよ……何で、何で教えてくれなかったの?ねぇ、気付いてたんでしょ…?」
「普通、気付かないよ……
逆から読む
なんて…」
「ねぇ、奈那痔」
「10年前、私に見せてくれたもの、覚えてるよ。私が、見たくて見たくて、堪らなかったもの」
「蝉の死骸、だよな!?」
「っ!?」
「な…そうだよな、A。……覚えてくれていて、ありがとう」
「すっごい俺、嬉しいよ!」
わたしは今にも泣きそうだ。泣きそうなほど、満ち足りて零れ落ちてしまいそうなほど…
「奈那痔…。私もまたこうして会えて凄い嬉しい。……部活、頑張ろうって思えたよ!」
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モッッッッ(プロフ) - はい!!!ありがとうございます!! (2018年1月8日 22時) (レス) id: 19e25ee5f7 (このIDを非表示/違反報告)
最中(プロフ) - とても面白いです!続き待ってます! (2018年1月8日 10時) (レス) id: 246d24c4fe (このIDを非表示/違反報告)
モッッッッ(プロフ) - おっそうだな (2017年9月23日 16時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 面白いのですが、三点リーダ(…)は基本二個セットで使ったほうが良いかと思いました。 (2017年9月23日 11時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
モッッッッ(プロフ) - ありがとうございます!これからも読んでくださると嬉しいです! (2017年9月18日 18時) (レス) id: 2e7e45d23c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モッッッッ | 作成日時:2017年8月9日 18時