【ドラクエ11】次元を渡りし魔法使いの弟子【ログ・ホライズン】 (ページ33)

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「ロトゼタシア内海の北側にあるここ、バンデルフォン地方には、かつて花の都と呼ばれた美しい国があったそうです。当時は、デルカダールのような大国とのかけ橋として栄えていたのですが、魔物の襲撃により、滅びてしまったと聞いています」

船着場から上陸してきたイレブン達は、黄金が揺らめく麦畑の道を歩く。
お日様の光を吸い込んだ牧草の香りが、風に乗ってAの髪を揺らした。

「あちらは宿屋でしょうか？」

オレンジ色の屋根をした石造りの大きな建物をセーニャが指す。
不揃いの木製の柵を超えると、数匹の馬と1匹の犬がいた。
まだ乾ききっていない白いシーツが小さく揺れている。

「あそこはネルセンの宿屋です。かつて伝説の勇者の仲間だったネルセンという名の戦士様が由来となったようです。バンデルフォン地方は広いですから、今日はここで休んでいきましょう」

「それにしても、Aちゃんは随分と詳しいのね」

「いろんな所を旅していたので、その場所のことを色々教えてもらったんです。といっても、全部シロエさんからの受け譲りなんですが…」

「A様は、あの大魔導士シロエ様のお弟子なのですよね。シロエさまは独自の技術で、魔法をお使いになると聞いております。私を助けてくださったときのあれも、そうなのですか？」

「あ、それ、私も気になってたの！」

「確かに魔法を杖の中に吸い込むなんて芸当ははじめて見たな」

セーニャの質問に、Aの表情が一瞬だけ曇り、歯切れの悪い反応になる。

「あ、えっと…その…」

「ワン！ワンワン！！」

深みのある青い瞳を左右に揺らし、返事に困っている様子の彼女の背後から、千切れんばかりに尻尾を振り回す犬が現れた。

「なんかすごい懐かれてねぇか」

Aの足元を円を描くように周る犬に、彼女は膝を地面におろして撫でた。

「おぉ、外が騒がしいと思えば、Aさんだったのか」

宿屋の扉が開き、恰幅のある男がやってくる。
どうやらここの宿主のようだ。

「知り合い？」

イレブンがAに問いかけると、彼女は立ち上がり、頷いた。

「シロエさんとよくここに泊めてもらっていました。」

彼女は深く頭を下げる。

「しばらく見ないうちに大きくなったね。前見たときはこれくらいだったのに。今日はシロエさんじゃなくて、お友達と一緒なんだね」

一体いつの頃の話だろうか。
宿主が懐かしそうに話すAは、その背丈からして10歳くらいのときだろう。