【ドラクエ11】次元を渡りし魔法使いの弟子【ログ・ホライズン】 (ページ31)

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大きな翼を羽ばたかせ、空へと駆け上がる鷲獅子の姿が月夜に照らされる。
同時に、耳を塞ぎたくなるような内臓に響く大砲音が何度も響いた。

「なんだこの音は…？」

船の上にいたカミュが身構える。
なにが起きているのか周囲を警戒し、夜の海に目を凝らした。

「あれはダーハルーネの商船…？まさかあの船は…！」

波止場にいたホメロスたちは、信じられないといった表情で驚いていた。

「そのとおりですよ。ラハディオ町長の商船です。ホメロス将軍」

見上げれば、そこにはホメロスたちを見下ろすシロエがいた。

「ラハディオ町長の息子さんが、声がでない病気になってしまったから診てほしいと僕に頼まれましてね。けれど、その件については勇者一行(かれら)が解決したようだ。しかも聞いてみれば、あなたが彼の息子の声を魔法で潰したそうじゃないですか」

淡々と言葉を続けるシロエの声に耳を傾けていたAは、ホメロスがしたことを聞き、困惑した表情でホメロスに視線を下した。
ホメロスは、口を閉ざしたまま、血の通わないような氷の瞳でシロエを睨んでいる。
静かに見下ろすシロエは、ひとつ息を吐いた。

「これだけは覚えておいてほしい。この子を悲しませることだけは、僕はなにがあっても許さない。僕の命が尽きたとしても。」

「シロエ…さん？」

ホメロスの返答を待つこともなく、シロエはグリフォンの手綱引いてその場を去る。
不安そうな表情でシロエの様子を伺うAに、シロエは目を細めた。

「イレブンっ！」

波止場のほうからホメロスの声が聞こえる。

「イレブンよ、聞こえているか！貴様だけは、いずれこの手で捕えてみせる！せいぜいその時まで怯えて過ごすがいい！」

その声がイレブンたちに届いているかは定かではないが、Aは複雑な表情で波止場を見つめていた。

「まったく、口は減らないな。あの威勢をもっと別の方法で活かしてほしいね。」

皮肉めいたように、シロエが口元をあげて苦笑いする。
彼らは、イレブンたちの待つ船へと駆けていった。

◆

「Aちゃ～ん！こっちに来て手伝ってもらえる～？」

「はぁーい！今行きます！」

シルビアの声に呼ばれて、Aが足早に駆け寄っていく。
この光景もすっかり慣れてしまったのは、彼女の人懐っこい明るい性格があったからだろう。
初めは人見知りなのか挙動がやや不安ではあったが、いつのまにかすんなり馴染んでしまっていたのは、皆が意外だと感じていたに違いない。