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「あ、シロエさん…!」

ハッとしたように口に手をあて、しまったという表情になる。
瞬間、背後からガサッという乾いた音がして、ビクッと肩を震わせたAは、恐る恐る振り返った。
あ、と小さく声がふたつ重なる。
そこにいたのは、デルカダール城ですれ違ったセミロングヘアーの青い瞳をした青年だった。
目が合った瞬間、二人は驚いた表情で沈黙する。

「ん?なんだ、おまえの知り合いか?」

青年の後ろから現れたのは、空色の髪をツンツンヘアーにした青年であった。
知り合いというわりには、お互いの反応がおかしいと感じたからだろう。
彼は腕組みをしながら、Aを怪訝そうな表情で見ている。

「…あ、あのっ!」

そんな空気に気圧されながらも、Aは意を決したように口を開いたときだった。
カラカラと頭上から小石が転がる音がし、崖を見上げる。

「見つけたぞ。悪魔の子め…」

「くそっ!ここまで追ってくるとはな!」

馬に乗った数名の兵たちを引き連れて現れたのは、デルカダールの将軍グレイグだった。
馬具で装飾された漆黒の馬を操り、高い崖を軽々と滑り降りてくる。

「おい!逃げるぞ、イレブン!」

「あ…!」

瞬間、走り出した二人に手を伸ばすも、彼らは近くにいた馬に跨り、小さな神殿へと駆け抜けていく。そんな彼らに、兵の一人がボウガンを取り出し、矢を放つ。

「だめっ!」

彼女の静止の声も虚しく、矢はイレブンの乗る馬に当たり、その場に崩れ落ちるように落馬してしまう。イレブンは、落ちた衝撃に耐えながら後ろを見れば、グレイグ達が迫ってきている。

「今だ!悪魔の子を捕らえろ!!」

「イレブン!つかまれ!」

空色の髪の青年がイレブンに手を伸ばす。
彼はイレブンの手を掴み、力一杯引き上げた。
徐々に神殿へと近づくイレブンの鞄から、青い光が小さく漏れだす。

「イレブン!!石だ!!じいさんからもらった石を出せ!」

イレブンが鞄から青い石を取り出すと、青白い光がより一層輝きを放ち始め、神殿の固く閉ざされていた扉がゆっくりと開き始めた。

「逃がすものかぁっ!!災いを呼ぶ悪魔の子め!!」

自身のボウガンを取り出したグレイグは、矢を放つ。
馬の悲痛な悲鳴が響き、二人は地面へと投げ出された。

「走るぞ!!イレブン!!」

彼の言葉に頷いたイレブンは、地面を力強く蹴った。
石橋を渡り、二人は息も絶え絶えの様子で扉の中へとなだれ込む。
瞬間、閃光が柱のように天を刺すと、扉は再びガタンッと閉じた。

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設定タグ:ドラクエ11 , ログホライズン , ホメロス   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:マナ | 作成日時:2020年1月12日 20時

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