【ドラクエ11】次元を渡りし魔法使いの弟子【ログ・ホライズン】 (ページ15)

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「A、勝手にいなくなったら心配するじゃないかっ…」

キャンプ地よりも随分と離れた場所にAはいた。
谷間に生えた太い木の根がいくつも絡まり、草木が覆い茂っている。
彼女は四つん這いになり、もつれあう木の根の隙間を覗いているようだ。
こういった突然いなくなるといったことは、珍しい光景ではない。
錬金術に使う珍しい材料を見つければ、好奇心の赴くままに即行動することは多々ある。
今となっては慣れたものだが、せめて一言ほしい。

「今度はなんだい？おにびどんぐりの火種かい？それともプチアーノンやメソコボルトが落とすパールかな？」

シロエはここら周辺に出没する魔物(モンスター)を思い浮かべて、呆れた表情で肩をすくめた。これらは敵を撃破することによりドロップされるアイテムだが、極稀に落ちていることがある。
普通は見つけられないような特殊なアイテムを見つけ、ちょっとした物探しくらいも探しあてるため悪いことばかりではない。むしろ良い事が多いだろう。

「あ、シロエさん、この向こうに行けそうなんですが、なにがあるかと思いまして」

この好奇心の猛者がなければだが。シロエはふとそう思う。
錬金術師が皆こういうものなのかと考えたが、比べる対象などいないため、シロエは一度この考えを放棄した。
最近では、Aだからというほうがしっくりとくる程だ。

「あー、この先は…って、A！」

シロエはつい先ほどまで眺めていた地図を取り出そうと魔法の鞄に手を伸ばした時だった。
いくつもの根が絡み合うほんのわずかな隙間をくぐり、Aは奥へと進み始める。

「ったく！って、僕通れないし！」

細身の彼女には余裕で通れる道でも、成人男性の体格では小さすぎた。
どちらかというと細身のシロエだが、さすがにこの隙間を軽々と通れる体格でもない。
白いマントを翻し、シロエはもと来た場所を足早に駆け出した。

「よい、しょっと」

木に根を潜り抜けたAは、身体をおこすとパタパタ長いスカートをはらう。
周囲を見渡すと岩山の隙間にできた道であろうここは、先程の大きな根と同様の樹木がいくつか生えており、その先に白い光が見える。
Aが光の出口へと歩みを進めると、そこは緑の断崖絶壁だった。
ふと、崖のほうに小さな神殿のような建物があることに目が留まる。
長い石畳でつくられた橋の先にあるそれは、扉に宝石のような蒼い石が埋め込まれており、不思議な雰囲気があった。