8話 ページ9
「うわぁ、今日はハードスケジュールだねぇ。」
『勝手に手帳見ないでいただけます?』
「え、ドラマ撮影すんの?君演技できる?」
『おい無視すんな。できるし。』
朝、タクシーの後部座席で始まる攻防戦。
まさか朝起きた瞬間まで手が握られていると思わなくて、思わず振り払って寝室から飛び出した。
……ずっと、ベッドの横下にいたんだろうか。
だとしたらちゃんと睡眠取れてないんじゃないかな。
横目で隣に座る五条悟の様子を伺う。
生憎、目元が隠れているから隈とかは確認できないけど。
『………あの、』
「ん〜?」
『あ……その、昨日は眠れたのでしょうか。』
「いや?君のいびきがうるさくて眠れなか、」
『もういいです。心配した私が馬鹿だった。』
やっぱり腹立つ…なんなのこいつは…ッ!!
なんとか苛立ちを抑えて現場に入った。
今日も目隠しをした変質者は私の楽屋で好きなようにくつろいでいる。
「………は?!」
『?!
急に何ですか…!』
「え?あぁ、ごめん。
…いや、君の出るドラマってもしかしてこれ?」
そう言いながら五条悟が見せてきたスマホの画面には、確かに私と、もう一人若手の人気俳優が映っているものだった。
いや、知らなかったんかい。
「僕さ〜、コイツ好きじゃないんだよね。」
『コイツとか言わない。』
「だって…なんかありそう、って思わない?」
『…。』
そんなの知らないよ。
というより、芸能人って何かない方が珍しいと思うんだけど。
まあ、私の場合は逆に珍しいがすぎる気もするけど。
「……やめなよ。」
『え?』
「別の子と代わりなよ。
君には無理だって〜。」
『……はぁ?』
その言葉には流石にカチンときた。
私には、無理……?
「今、めちゃくちゃ人気のやつと主演なんて組んだら、それこそ今以上に呪霊が寄ってくるよ〜?
それに、コイツは多分だけど…」
『………馬鹿にしないでよ。』
「え?」
『そんなのアンタに決められたくない。
私がどれだけ努力してここまで来たのか知らないくせに、勝手なこと言わないで。』
虫の居所が悪いにも程がある。
冷静になるために私は楽屋を出た。
そうだよね、わかんないよね。
どん底の暗闇から這い上がってきた気持ちなんて、誰にも…
『…ムカつく。』
しかし、後に五条悟の言う事を聞くべきであったと後悔することになる。
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ちゃっぱ(プロフ) - きのこさん» ありがとうございます…!頑張ります!🔥 (2022年1月20日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 更新楽しみにしております。ファイトです。!(*'▽') (2022年1月20日 1時) (レス) @page44 id: 745e8e7bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - れいなさん» この作品に関しては自分もよくわからなくなる時があるくらいなぜ構造が難しいんですよね…(え?)キスシーンドキドキしてくださいました…?!あのプルプルの唇にぜひ蝕まれた…(黙れ)私も大好きなので定期で狼化(?)させてますこれからもします。ありがとうございます^_^ (2022年1月14日 23時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
れいな - どの作品も奥が深くて「早く早く!続きどーなんの?!」ってドキドキしてます!一番ドキドキした所は、……キスシーンですよね?!あーゆー呪術キャラが狼になるシーンホントに大好きです!個人的に山本さん怖いですねぇ…。リアルにいそう…。更新頑張ってください! (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
れいな - れいなです!「雨の日に虎を拾った」の作品から来ました!ちゃっぱ様の作品がどれも素晴らしいです!個人的に呪術キャラがアタシ好みですしww五条先生の作品の中でトップレベルに好きな作品です!こんな素敵な作品達を作れるちゃっぱ様はどうなってるんですか?!ww (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年8月26日 18時