ある日、私にセコムができた【五条悟】

7話 ページ8

「ｧ、ｱｿﾎﾞ……ｩ?」


『……ッ！！』





呪霊って喋るの……？！



周りに人がいないにも関わらず聞こえた声はあまりにも不気味で、いよいよ私は全身から力が抜けてしまった。





いるのはわかってる…だけどどうしようもなくて、私は腰が抜けた状態でただその方向を向くしか出来なかった。





嫌だ……気持ち悪い……助けて…ｯ





『助けて……ｯ！』






その瞬間、ふわりと漂ったのは最近よく香る優しくて大人の香り。




それと同時に感じる、強い圧力。






「ごめん、遅くなって。」




その声と同時に気持ち悪い気配はすぐに消えてなくなった。




それと同時に脳裏に浮かび上がるのはいつかの記憶。



私、前にも同じようなことが………







「……立てる？
僕が祓ったからもう大丈夫だよ。」


『………ありがとう、ございます。』


「怖かったよね。
ごめん、一人にして。」






そう言って、五条悟は私の頭にそっと自身の手を乗せた。



何だろう、これ。



ムカつくのに、こんなやつ腹が立って仕方ないのに、






「…え、嘘。泣いてんの？
そんなに怖かったのかー！よーしよし！」


『違います…ｯ！！子供扱いすんな！』





安心してしまうのはなんでだろう。









『だぁから！いらないって言ってるでしょ！』


「知んないよ？寝込み襲われても。」


『言い方…』






そのまま私の家に帰ってくるなり、「朝までいてあげるよ。」なんて言うから何もないところでつまづいた。





『…ていうか、あなた教師なんでしょ？
仮にここに朝までいたとして仕事に支障が出るんじゃないの…？』


「僕の一番の仕事これだから大丈夫。」


『………はぁ。』





もう何でもいいや、好きにしてくれ。


本当は一緒にいてくれる方がめちゃくちゃ心強いなんて、言えないけど。






今でも怖い。


五条悟がいるといえ、またいつ同じように直接的に襲われるかわからない恐怖で目が冴えてしまっている。




明日も朝から仕事があるのに……どうしよう、このまま眠って大丈夫だろうか…。



震えが、止まらな……





ギュッ




『え……』


「無理して強がんなよ。
怖いなら怖いでいいから、僕を頼って。
何のためにいると思ってんの。」





ベッドの横でしゃがんで私の顔を見ながら手を握る五条悟の顔がいつになく優しくて、私の震えが自然と止まっていった。



やっぱり安心する。



繋いだ手は翌朝までしっかりと握られていた。

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