ある日、私にセコムができた【五条悟】

5話 ページ6

「なになにあの人、ボディガードかなにか？」


『まあそんなとこかな…』




同じ撮影になった友達のモデルの子が不思議そうに、スタジオの脇に立つ五条悟を見ていた。



撮影現場には来ないでって言ったのに…！！





多分、私の睨みに気付かぬふりをした五条悟は呑気に手なんて振ってきやがった。





「ねぇ、あの目隠しどうなってんの？前見えてんの？」


『知らないよ。見えてんじゃない？』


「素顔どんななんだろうね。
実は超絶イケメンだったりして。」


『……まさか。
厨二病っぽくしたいから目隠ししてるんでしょ。』





そうは言ったけど、一度も目隠しを外したところを見たことがないから確かに気になるかも。






『あの、』


「ん？どした？」




撮影が終わって楽屋に戻ってみれば、呑気にチョコアイスを頬張っている五条悟を見てイラつきつつ、落ち着きを取り戻す。






『目隠し、なんでしてるんですか？』


「あー、やっと聞いた。」





「普通、初手で聞いてくるからね。」といつ聞かれるのかと待っていたらしい。


いや、何なのそれ。




五条悟はどこか嬉しそうに私の前まで来ると、腰を曲げて私の目の前に顔を突き出す。





『な、何でしょうか。』


「ん？気になるなら取ってもいいよ。」


『いや、私はなんで目隠しをしているかを聞いただけであって、別にその下がどうなっていようが……』


「興味、ないんだ？」




五条悟はニヤリと笑った。


…いや、本当は興味ある、興味しかない。





ゆっくり目隠しに手をかける。


いつも張っているバリアみたいなものが無くて、五条悟に初めて自ら触った。いや、目隠しの布だけど。






まあ、どうせ大したことな………









『え………』




ｺﾞｸﾘ



思わず息を呑んだ。





「え、それだけ？反応薄いなー。」


『ちが……あまりに、綺麗で、言葉が見つからない…。』




ふさふさの白いまつ毛も十分凄いけど、なんだこの綺麗な瞳は。



思わず見惚れていれば、「その反応、まんま変わんないね。」なんて初めて見せた素顔で穏やかに笑った。






『どういう意味ですか？』


「んー？そのまんまの意味だけど？


ほら、もっと見る？」





なんだか気になる発言だけど、五条悟が私の両頬を掴んでグッと引き寄せるからそんなこと一瞬で忘れ去った。




いや、近い…この距離で目を見つめるなんて無理…！




「もう、僕から人に見せるなんて特別なのに。」

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