ある日、私にセコムができた【五条悟】

13話 ページ14

しばらくの間沈黙が続いた。


誰も何も言わない。



だけど五条悟の後ろからでも2人が睨み合っているのはわかった。





どうしてこんなにも2人がいがみ合うのかがわからない。





「知ってた？
執着しすぎると逆に嫌われるって。」


「……どういう意味だよ。」


「それは一番自分がわかってんじゃないのー？


…さ、帰ろっか！今日見たいドラマあるって言ってたじゃーん！」



『え、あの…』





グイグイと私の背中を押して、タクシーが来る場所とは真反対の方向へと歩かされる。



睨むように後ろの五条悟を見上げるけど、「前だけ見て。」とさっきまでの笑顔が消えていたから従うしかなかった。









『あの、''背後"に気をつけてってどういう意味ですか？』




私の家で呑気にソファでくつろぐ五条悟に話しかけると「え、そのまんまの意味だけど。」と返される。





「あの山本ってやつに背後取られちゃダメだよ。
わかった？」


『……理由は。』


「知ったら後悔するだろうから教えなーい！」




五条悟はそれだけ言うと「僕、今から仮眠とるね！おやすみ！」なんて言って眠った……のか？



目隠しをしてるからわかんないけど、静かになったし呼吸がそれっぽいから多分寝たんだろう。




『…んとに、何しに来てんだよコイツは…！』




聞こえないのをいいことについ本音が漏れた。


……でも、眠るほど疲れてるのかな。





いつもなら私の前で寝る姿は晒さない。





『……ブランケット、寝室にあったっけ。』




いや、別にお世話したいとかじゃなくて、あれよ、あれ。



そう！気が向いたから！





『…。』





お風呂に入って上がってきてもまだ寝ているらしい。


やっぱ疲れてんじゃん。




特に何の意味もないけどソファのそばにしゃがんで五条悟を眺めてみる。



そこで少しの好奇心が働いてしまって、私の手はどんどん目隠しの方へと伸びていく。






まあどうせ触れないだろうけど………





『ｯ……』





……ちゃんと防御しとけよ、無防備すぎるでしょ。



いとも簡単に触れることができてしまって戸惑いつつも、ここで後戻りもできずクイッとそれを上にあげた。





『………相変わらず綺麗な顔だなぁ。』




そんなこと言うけど素顔を見たのはこれが2回目。



ほんと、顔と性格が反比例しすぎなのよ。




心の中で皮肉を言って目隠しを戻そうとした時だった。




「……なーにやってんの。」



その綺麗な目が開いたのは。

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