涙、きみを濡らす【クラピカ】

45.想い ページ45

ク「これはどうだ？割れた物と少し似ている気もするが...」


クラピカの手には白のティーカップ
縁がゴールドで割れたものよりで前のよりも気に入った



「あ、いいね。じゃあこれにしようかな」


ク「昨日のお詫びだ。私が買おう」




受け取ろうとした手からティーカップを遠ざけ、私が受け取れないようにする。




「だから気にしないでって何度も言ってるでしょ」


ク「気にしているのも多少はあるが、それだけではない」




ああ、まただ。
昨日もそうだけど、クラピカは私をたまにこうやって優しい顔で見る時がある。



大切な人がいるはずの相手に、勘違いしそうになる



一瞬、クラピカに買ってもらってもいいかなと思ってしまった。



けど、思い出があればあるほど島をでていなくなった後も買ってもらったものを見るたび貴方を忘れられない。





「...何考えてるんだろ」

ク「え？」

「ううん、これは本当に大丈夫。買ってくるから待ってて」


半ば無理矢理クラピカからカップを貰うとそのまま店主の所にいき、買い物を済ませた。






記憶もない、会ったのもこの間が初めてなはずなのに


クラピカに、惹かれてる...?






「...報われないのにね、そんな恋」



考えれば考えるだけ虚しくなってしまう。
やっぱり今日で彼に会うのは最後にしよう


そう言い聞かせ、何事もなかったかのようにクラピカのもとへ戻った。









ク「本当によかったのか？」

「うん、大丈夫！それよりお腹すかない？」


これ以上カップのことを話すのも気まずいので話をなんとなく変える



ク「まあ少し...Aはすいたのか？」

「近くに住んでいる女の子がね、この前食べた物がすごく美味しかったから食べてって」

ク「私は別にかまわないが...」


「たしか、この辺りだったはず...あ！あった！あそこだよ行こうクラピカ」




教えてもらったお店の看板が見え、思わず走った

ク「A、走ると転ぶぞ」

「あっ、つい...はしゃいじゃった...」



クラピカの言葉にすぐ止まり振り返る



ク「まったく、ほら行くぞ」

そんな私の横を通り過ぎて先にお店のドアをクラピカが開けてくれた


「あ、りがとう」



先にきてドアをあけるなんて...女性慣れしてるのね

たしか初めて昼間に会った時もこうやってドアを...






そこで何か違和感に気づく









あれ？私...今、誰を思い浮かべてたの？

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