両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ19)

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No.64 決壊ページ19

Silk side

朝、目が覚めた俺はすぐに朝の諸々の支度をした。

昨夜は部屋に戻ってからみんなに心配された。帰りのランニングなんてしなかった。一緒に出たはずのAがいない事への心配と、帰りが遅かったことへの心配。

それを上手く誤魔化して、風呂に入って疲れたからと言って早めに布団へ。中々寝付けなかったのは言うまでもないが。

既に朝食やもう一度海へ行くのでAに会ったのだが、「おはよう」という挨拶だけでぎこちなく、話しかけようとしてもさらりと躱されてしまう。

＿＿＿＿明らかに避けられてる……。

今日も昼頃まで海で遊んで、昼飯食ったら電車で帰る。それまでに何とか話せる時間を作らなければ。

でも、常に俺と反対側にいるAにどうやって。そりゃまぁどっかのタイミングで捕まえて話すしかないんだけど。

海でまた遊び始めてからもAは普段のように振舞って見えるが、俺を避けてるのが分かりやすく、不自然すぎて。

シ「なぁA、ちょっと＿＿」

『＿＿ねぇマサイ！写真撮って！』

マ「？あぁ、いいけど」

マサイは不思議そうに俺とAを交互に見つめながら彼女に腕を引かれて行ってしまった。

ン「何、喧嘩でもした？」

その様子を見ていたンダホに声をかけられ、どう答えようか迷っていると、

ン「まぁ無理に答えなくてもいいけどw」

察したらしいンダホが笑ってそう言った。

ン「ちゃんと仲直りしなよ」

「お前と喧嘩でもしたらあの子生きてけないんだから」と付け加えて俺の肩をポンと押す。

シ「何とか話さねーとな」

•*¨*•.¸¸☆*･ﾟ

そしてあっという間に時間は過ぎ、もう帰る時間になってしまった。何度か話しかけようと試みたものの、毎度何かと理由を付けられてしまい。

見かねたンダホが俺とA以外を連れて飲み物を買ってくると言い出して、2人にしようとしてくれる。

『ま、待って！私も行＿＿＿』

シ「待てよ」

ンダホについていこうとするAの腕を掴み引き止める。

シ「昨日の、ちゃんと話さないといけねぇと思って」

『＿＿＿＿＿』

俯くAの表情は見えない。ただ掴んだ彼女の手にだんだんと力が入っていくのだけは分かった。

『＿＿＿＿＿ごめん』

そう小さく漏れて言葉に、俺は思わず彼女の手を掴む力を緩めてしまった。

遠ざかる背中。

“ごめん”

その言葉の真意は分からないが、瞬間的に悟った。

シ「……嫌われたな、完全に……」

＿＿＿＿＿きっと、もう戻れない。