両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ14)

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No.59 潮の香りに置いていかれて⑤ ページ14

Masai side

シルクがAを迎えに行った後の会話。

ン「シルクも何で早く気持ちに気付かないかねw」

ザ「あんだけAの事になると必死なのになw」

シルクは他人の恋愛事情には気が回るくせに、自分が絡むと本当に鈍感なのだ。特に自分の恋には。

しかし俺だってAが好きなのだ。シルクが自分の気持ちに気づいてしまえば勝ち目はない。

とはいえ俺もそう簡単に諦めるわけにもいかず。

モ「てかダホはAのこと好きなのに2人がくっつくの応援する派なの？」

ザ「えぇ!?そうなの!?」

ン「ちょ、まだみんな知らねぇんだから！」

マジか、そうなのか、ンダホもか。まぁ勘づいてはいたしそんなに驚くこともないが。

ン「そりゃ俺も好きだけどさ…、好きな人の幸せは願いたいじゃん？」

ンダホは優しすぎるからもっと欲を言っていいと思う。他のことに欲を使いすぎなのだ。

ザ「え、みんなAのこと好きなの？」

モ「まぁ、俺も好きだよ」

「マジ!?」と驚いてるザカオ。俺も同感だ。モトキってポーカーフェイス得意だし、結構俺たちでも謎な存在だから気づかなかった。

ザ「マサイは？」

ン「マサイは確実に好きでしょw」

モ「うん、顔に出すぎだねw」

マ「…マジ？俺そんな出てる？」

ザ「マジかよ、今日来てる中で友達としての“好き”なの俺だけw」

マ「ダホはもう諦めるの？」

ン「……そうだね、気持ちはしまったままの方がAも困らせなくて済むから」

モ「正直俺も迷ってる。でも応援はしてるしいつか気持ちだけは伝えときたいな」

ザ「みんな色々考えてんのか…。で、マサイは？」

マ「俺は…諦めたくねぇ。最後まで」

俺にとってこんなに人を好きになる感覚はほぼ初めて。だからその気持ちを大切にしたい。

なんて、そうこう話しているうちに2人が戻ってきた。

Aの目は涙ぐみ、手はシルクと繋がれている。今までの会話の流れから4人とも“くっついたか？”とびっくりしたが、話を聞いていくうちに違ったことがわかった。

モ「そいつクズすぎでしょ」

ストレートなモトキの言葉に苦笑いのAと頷く男勢。

それからみんなで今日と明日は彼女を絶対に1人にしないと約束して、残った数時間をみんなで楽しむことを決めた。

時間が経つにつれAもいつもの明るさを取り戻し、テンションも上がってきたところで、男全員でAを海に放り自分たちもそこへ飛び込んだ。

水面から顔を出した彼女は、もう笑っていた。

パシャリ。