両片思い【Fischer's】

No.31 アレが返却されるそうで ページ34

You side


「はいテスト返すぞー。名簿順に取りに来ーい」

教卓ではみんなの答案用紙をまとめて机に揃えている。

今日はテストの返却日。私の学校では、テスト明けてすぐの1時間目の学活で9教科全てのテストが返ってくる。

「Aー。取りに来ーい」

『あ、はーい！』

一気に渡される9教科分の答案用紙。私はいつも全部机に戻ってから点数を確認するから、一旦見えないように閉じて机まで席まで戻った。

『ほうほう……』

1番上から点数を見ていく。大体目標点には届いてるけど、凡ミスがちょっと勿体ないな。

マ「Aどうだった？」

隣の席のマサイが私にそう尋ねて、覗き込むように答案用紙を見る。

マ「すっげ……、俺達に教えながらこの点数って天才かよ…w」

『人に教えながらの方が頭に入るんだよ？それより、マサイはどうだった？』

マ「Aのおかげで前より点数上がったよ！マジでありがとな！」

『おー、ほんとだ！よかったよかった！』

マサイは嬉しそうににっと笑った。

「ちなみに国語と数学と理科、美術はAが学年トップ、どれも90点台だ。よく頑張ったな」

担任が言うと、みんな私の方を見て｢すげぇ…｣と言って拍手する。少し小っ恥ずかしい。

それから休み時間になって、他クラスからみんながやってきた。

ン「A！俺いつもより今回点数よかった！」

ザ「俺も！」

ダ「やっぱりみんな上がったなw」

口々に私に感謝の言葉を言ってくれて、勉強会やってよかったなって思わせてくれる。

シ「俺保体男子トップだったんだって！男女別だからAには負けたかもだけどw」

『ほんと!?すごいじゃん、おめでとう！』

シ「お前のおかげだわ…w」

好きな人から「お前のおかげ」だって言ってもらえてるだけで私はもう幸せだ。

『みんなが頑張ったからだよw 私はそのお手伝いしただけだもん』

ぺ「なんかお礼したいよな！なんか欲しいものとかある？」

そんなお礼なんてしてもらうようなことしてない…w

だけど、強いて言うなら……、

『じゃあ、夏休みにみんなでお出かけしようよ！それでいいかな？』

モ「そんなんでいいの？w」

『いーの！』

決まりね、と少々強引に言えば、みんなは仕方ないなぁという雰囲気で、それでも少し嬉しそうだった。

やがてまたチャイムが鳴り、そそくさと各々の教室に戻る。

と、ふと窓の方に目をやると、空は暗く重くなっていてパラパラと雨が降り始めていた。






＿＿＿＿＿やば、傘持ってきてないや…。

No.32 雨降り→←No.30 当たり前だ、と

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マサイさん！

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