汚い過去 . ページ1
それは突然だった。
孤児となってしまったバラバラの三人、
錆兎、義勇、そして私。
弟子として引き取ってくれた育手の鱗滝さんの所で修行を約一年。三人ともなかなかの腕前になった時、
その成果を出す最終選別での時だった
簡単に言えば、親友の命を鬼に取られてしまった
難しく言えば、私は恋を優先した。
「錆兎、？錆兎ッ！！！！」
「…………ッ、」
義勇は叫んだ
目の前の血溜まりがこの現状を理解させようとする
私は義勇の腕を力強く掴むと遠くへと逃げた
このままでは死んでしまう、次は私たちが狙われてしまう
錆兎は親友だった
義勇には思いを寄せていた
錆兎が鬼に頭を握りつぶされる寸前、義勇は動こうと足を一歩踏み出した時、私は腕を引いた
理由は簡単だ。義勇に死んで欲しくないから
私の愛する君が死ぬところなんて見たくないから
でも、でも…、
錆兎の命と引き換えになんてしなくなかった。今となっては後付になってしまうが。
ある程度距離を離して掴む腕を離すと息を飲んだ。
義勇の瞳からは光は存在していなかった
「義勇…」
「…話しかけないでくれ」
冷たくて冷たくて、死んでしまいたい。
この時まだ最終選別の四日目
別々に行動をすることになったが鬼は既にこの森にはいなかった
ほとんど錆兎が殺っていたからだ
地獄の七日間が終わると義勇と一緒にあの家に帰らなかった
私はずっと野宿をした。義勇もそうだが…師匠の鱗滝さんに合わせる顔がない。
もう、終わったと思った
錆兎を亡くし、義勇に嫌われ、師匠に合わせる顔がない
身寄りのない私からしたら地獄だ
頼る場所がないことがどれだけ辛いことか。この一年はとても幸せだったのだと思い知らされた
野宿をして十二日ほど経った頃、目の前に影現れた
その現れ方はどうも一年前、死にかけだった私の目の前に現れた鱗滝さんみたいで、
「…こんな所で何してる、帰るぞ」
「…え、師匠…？」
「義勇は先に任務に旅立った。…色々聞いた、だがAの家はあそこしかないだろう」
あの時みたいにまた泣いた。
その時ちょうど、汚い雨が降っていたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 132人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魑魅魍魎(プロフ) - 作者様…何か勘違いをされているようですよ。こんなに素晴らしいお話を書かれる貴女が神なのであって、私達読者は神からの贈り物をありがたく受け取っているだけですよ (2020年6月7日 13時) (
レス) id: ff6e6e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - 26ページの「富岡さん？せっかく一緒の任務なんですから仲良くしましょうよ？」の「冨」の字が間違ってますよ〜。 (2020年5月19日 8時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
美怜(プロフ) - 紗夜菜さん» 切ないですか！！？その切なさが伝わって作者として一安心してます…！これからどんどん切なくなっちゃって下さいな笑 コメント嬉しいです！本当にありがとございますm(*_ _)m (2020年5月12日 19時) (レス) id: a91e59d2ae (このIDを非表示/違反報告)
紗夜菜(プロフ) - あぁぁ。切な過ぎて泣く．．．これから頑張ってください！ (2020年5月10日 13時) (レス) id: feb92a0363 (このIDを非表示/違反報告)
美怜(プロフ) - ヤルネコさん» すみませんm(*_ _)m コピペして載せているのですが間違えて同じものを載せてしまいましたm(*_ _)m 優しくご指摘ありがとうございます！ (2020年5月7日 20時) (レス) id: a91e59d2ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美怜 | 作成日時：2020年5月5日 21時
