Heartbreaker 【吉沢亮】 (ページ2)

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カチッカチッ

時計の針が約束の時間を指した。

ドアの開く音と共に黒のシックなドレスに身を包んだ西園寺さんが現われた。ローズの甘い香りがふわりと香る。

『お待ちしておりました、西園寺様』

“ツバサくん、こんばんは。”

『では、こちらへどうぞ』

手を差し出して彼女をエスコートする。

一階にあるロビーを抜けてエレベーターを使い、彼女といつも過ごす最上階の眺めのいい部屋へと向かう。

彼女はというと慣れた足取りで僕の隣を歩き、ロビーで僕たちを品定めしているほかの客を横目に僕が彼女のものだというようなオーラを振りまいていた。

―チーン

目的の階に着いたことを知らせるベルが鳴る。

“ねえ、ツバサくん、今日はここの階の部屋、他に誰か使うのかしら？”

『マリーさんの為に貸切にしましたよ。』

“ふふふ、じゃあ思いっきり楽しめるわね...?”

404号室
彼女のお気に入りの部屋だ。いつもここで彼女は己の欲求を満たしていく。

ドアを閉めるや否や彼女は綺麗な細い腕を僕の首に絡ませ深くねっとりとしたキスをしてきた。

この人はいつものっけから飛ばしてくるんだよな、なんて野暮なことを思いながら彼女を抱え、ベッドへと運ぶ。

女をよろこばせて、お金を貰う。
そこに愛はなくただの利害関係で結ばれた契約。

そう、女なんてただの金ヅルだ。