伍話 ページ8
自室へと戻った私は、今日が付添の猗窩座さんと会話もなく、ただ座りそこにいた。
「……」
『……』
気まずいの一言に限る。そんな時、猗窩座さんが先に口を開いた。
「…お前、"鬼殺隊"でどのくらい強かったんだ?」
その単語を聞いただけでも鳥肌が立つ。
吐き気もするがそれでも、質問をされているのでなんとか抑えて答える。
『周りなど見たことがないので、分かりません。強くなることしか考えていませんでしたので…そこまで強くまりませんよ。あの柱たちの呼吸は強いのに、私の呼吸ときたら…』
「その呼吸ってのは?」
『……』
言いたくなかった。自分はこの呼吸の名前や技が嫌いだったからだ。なんて、弱々しい呼吸なのだろうと思う。
「…なるほどな。あの方の言う通りだ」
『無惨様の?』
「実際は強いらしいが、そうやって評価を低くする。気に食わねぇ…」
突然立ち上がるなり、私の手を引いて自室の外へと連れ出した。
『あ、あの!一体、どこに…?』
「……」
猗窩座さんは何も答えなかった。
しばらく連れられていると、ある場所に辿り着いた。とても広い部屋で道場の広さぐらいだ。
「ほらよ」
何かを投げられ、受け取った。それは紛れもなく、私の日輪刀だった。
「あの方から預かった。それは返そう」
そう言って、私から離れてこちらの様子を見る。
『あの、猗窩座さん。これは一体』
「呼吸とやらで俺を斬ってみろ。俺は何もしない。攻撃すれば、あの方からお叱りを受けることになるからな」
猗窩座さんは、元鬼殺隊の私の力を知りたいだろうが、私にはそんな理由もメリットはない。
一向に刀を抜かない私に苛ついたのか、舌打ちをした。
「チッ…勘違いするなよ、人間。あの方が認めても、俺は認めてなどいない。人間など弱い生き物だからな。俺は弱い者などに興味が湧かん」
その言葉を聞いて私はハッとした。
私を彼らに認めてもらわなければ、無惨様の下に仕えることなどできないのだと。
…ならば、認めてもらわなければ
私は刀に手をかけ、鞘からその刃をゆっくりと抜いた。
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美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです! (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう!うん!それが良いです!(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです!頑張って下さい! (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです((( (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユラン | 作成日時:2019年9月21日 18時