検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:128,355 hit

伍話 ページ8

自室へと戻った私は、今日が付添の猗窩座さんと会話もなく、ただ座りそこにいた。



「……」



『……』



気まずいの一言に限る。そんな時、猗窩座さんが先に口を開いた。



「…お前、"鬼殺隊"でどのくらい強かったんだ?」



その単語を聞いただけでも鳥肌が立つ。
吐き気もするがそれでも、質問をされているのでなんとか抑えて答える。



『周りなど見たことがないので、分かりません。強くなることしか考えていませんでしたので…そこまで強くまりませんよ。あの柱たちの呼吸は強いのに、私の呼吸ときたら…』



「その呼吸ってのは?」



『……』



言いたくなかった。自分はこの呼吸の名前や技が嫌いだったからだ。なんて、弱々しい呼吸なのだろうと思う。



「…なるほどな。あの方の言う通りだ」



『無惨様の?』



「実際は強いらしいが、そうやって評価を低くする。気に食わねぇ…」



突然立ち上がるなり、私の手を引いて自室の外へと連れ出した。



『あ、あの!一体、どこに…?』



「……」



猗窩座さんは何も答えなかった。
しばらく連れられていると、ある場所に辿り着いた。とても広い部屋で道場の広さぐらいだ。



「ほらよ」



何かを投げられ、受け取った。それは紛れもなく、私の日輪刀だった。



「あの方から預かった。それは返そう」



そう言って、私から離れてこちらの様子を見る。



『あの、猗窩座さん。これは一体』



「呼吸とやらで俺を斬ってみろ。俺は何もしない。攻撃すれば、あの方からお叱りを受けることになるからな」


猗窩座さんは、元鬼殺隊の私の力を知りたいだろうが、私にはそんな理由もメリットはない。
一向に刀を抜かない私に苛ついたのか、舌打ちをした。



「チッ…勘違いするなよ、人間。あの方が認めても、俺は認めてなどいない。人間など弱い生き物だからな。俺は弱い者などに興味が湧かん」



その言葉を聞いて私はハッとした。
私を彼らに認めてもらわなければ、無惨様の下に仕えることなどできないのだと。



…ならば、認めてもらわなければ



私は刀に手をかけ、鞘からその刃をゆっくりと抜いた。

陸話 猗窩座side→←肆話 童磨side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (168 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
330人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 愛され , 逆ハー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです! (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう!うん!それが良いです!(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです!頑張って下さい! (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです((( (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユラン | 作成日時:2019年9月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。