弍拾壱話 炭治郎side ページ24
『なんで、私を助けたの?』
少しの間が空き、Aが聞いてきた。
「俺、匂いで人の感情を読み取ることができるんですけど、鬼の匂いが強くて…その中で少し悲しい匂いがしたんです。表情も苦しそうだったし…」
『そっか…』
Aは悲しそうな表情で俺に微笑んでいた。
匂いからするに、感謝しているのだろう。
「あの、俺も聞きたいことがあるんですけど…」
『なんで、"私から鬼の匂い"がするか…でしょ?』
考えを読まれていた。
今、ここに漂う匂いは家族を襲った時の匂いと同じもの。まさか_
「鬼と共に行動しているんですか?」
『そうだよ』
「教えて下さい。その鬼の居場所を」
『それはできない』
「! どうして!?」
『私の恩人…大切な方だから』
それを聞いて、俺は彼女と自分を重ねてしまった。
今、背負い箱の中で眠る禰豆子は俺の大切な家族だ。例え、鬼でも大切な妹なんだ。
彼女もそれと同じで、自分にとって大切な存在なんだ。
でも_
「俺はその鬼を斬らなきゃならない」
家族を殺し、禰豆子を鬼に変えたその鬼を。
『…君も奪う側の人間なんだね』
怒り、悲しみ、落胆の匂いがした。
奪う側の人間…?どういう意味だ?
『それに、君があの方を倒すなんて無理な話だよ。私を助けたことには、感謝する…二度目で会わないことを願うよ』
「! 待って下さい!!」
突然、彼女は近くの林へと走り出した。
俺は彼女の後を追いかけるが、木々が邪魔をする。
「Aッ!」
彼女が振り返る。その時、俺は目を奪われた。
『炭治郎君…君みたいな人がもっと早くに…』
橙色の光に当たったその笑顔は、とても綺麗で寂しい印象だった。
俺にそれを残し、彼女は消えた。
複雑だった。あの鬼を倒さなきゃいけないのに、あんな寂しそうな彼女の大切な存在だなんて。
辺りはいつの間にか暗く、見上げると木々の間にはぽつりと一つの星が光っていた。
彼女の言っていた鬼の正体を知り、衝撃を受けたのは、この後のすぐの出来事であった。
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美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです! (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう!うん!それが良いです!(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです!頑張って下さい! (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです((( (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユラン | 作成日時:2019年9月21日 18時