捌話 妓夫太郎side ページ11
本当に頭の可笑しい奴だなぁ。
人間であった頃の俺ですら、そんな慈しむことなんて向けてはくれなかった。それに、鬼である俺たちをまるで人間となんら変わりのないように接してくる。
「なぁ。お前、兄弟はいるのか?」
『…いましたよ。妹と、弟がいました』
…そういうことか。
「…変なこと聞いちまったなぁ」
『いいえ。もう昔のことなので気にしないで下さい』
どこか無理して笑ったような気がした。
そういや、童磨が言ってた。
この人間は、大切な物を人間に奪われたのだと。
まさか、こいつ…そいつらまでも人間になぁ…本当に哀れな奴だなぁ
そんなことを思っていると、なんと妹が人間を抱き締めた。
『え、堕姫さん!?』
いやいや、ちょっと待って!?あいつ、吉原の綺麗な女ですらこんなことしなかったぞ?
だが、妹の言葉でその理由が分かった。
「私、妹だから。こんな時、どうしてあげればいいのか分かんないけど…でもね。人間だった時、お兄ちゃんがいつもこうしてくれたから」
『堕姫さん…』
「私、初めてこんなに心が綺麗な人に出会った。あんたのこと、嫌いじゃないよ」
こいつは、俺よりも頭が良くない。だから、すぐに感情というものが先に来てしまう。
人間、吉原の女共とこの人間を比べているのだろう。人間や吉原の女共は、心の底からこんなにも優しくはしてくれなかった。こいつの美しさで、優しくしてもらっただけだ。
だからなのだろうか。
「ねぇ、あんた!私の妹にならない?」
『え、妹?』
「いいでしょ?アタシ、お兄ちゃんみたいに誰かに頼られたいなって憧れてたし。それに、あんたみたいな人を守りたいって思っちゃったんだ」
妹にあんな存在ができたことに嬉しさを感じた。
「ね?いいでしょ、お兄ちゃん?」
妹が俺に向いてそう聞いてきた。
俺は頭をガシガシとかくと、口を開く。
「あぁ。ってことで、よろしくなぁ?A」
鬼でない、ましてや血の繋がりのない妹ができたのだった。
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美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2022年8月19日 22時) (レス) @page33 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 面白いです! (2019年11月6日 7時) (レス) id: f675202b80 (このIDを非表示/違反報告)
mayumi(プロフ) - この後、夢主ちゃんは鬼側即ち鬼殺隊の敵になるという事・・・。無限列車で煉獄は上弦の参に致命傷を負わされ、最後は夢主ちゃんに止めを刺されるシーン見たいですね。勿論柱達にも非業の最後もです。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: 58f715f8f9 (このIDを非表示/違反報告)
シレア(プロフ) - 結婚しましょ((殴 あまりにも好きすぎて本音が出ちゃいました・・・け、結婚を前提にお付き合いしましょう!うん!それが良いです!(ダメです)語彙力が無いのでこのくらいしか言えないんですけど・・・作品鬼がかってて大好き過ぎるんです!頑張って下さい! (2019年9月23日 14時) (レス) id: 89e5ec03ad (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 夏目(プロフ) - 大好きです((( (2019年9月22日 23時) (レス) id: d58669ce2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユラン | 作成日時:2019年9月21日 18時