10 ページ10
.
「んっ…」
WZ「それ、正解だわ。マジで俺、嫉妬でおかしくなりそうなんだけど」
「ジフナ、」
いつから、こんな無鉄砲にAを愛してしまったのか。もう俺はよく覚えていない。
WZ「おまえのこと、こんなに手に入れたいと思ったことねえよ」
「…っ」
俺は昔から計画性のないことが嫌いだった。だから感情で動くっていうことは今までなかったし、そもそも俺には考えられないことで。そういう奴らもバカだなって思いながら見下していた。
「ジフナ…っ！ちょっとここ、廊下、」
WZ「誰も通んねえよ」
「でも…っん、」
WZ「スニョアにばれたくねえなら、声抑えれば？」
それなのに、今の俺はこのザマ。Aに夢中でAしか見えてなくて。誰が通るかわからないこんな場所で、堂々とAに手を出しているんだから。
「今日のジフナ、意地悪ばっかり…！」
WZ「いまさらじゃね？俺がおまえに優しくしたことあった？」
「…ジフナはいつも優しかったよ。他人に興味ないフリをして、素っ気ないくせにいつも優しかった」
WZ「それ、誤解。興味ないフリじゃなくて、マジで興味ないんだって」
「ウソ」
WZ「…おまえのそういうところが嫌い」
見透かされてる気がして目を逸らした。
溢れているAへの想いも多分こいつは感じ取っていて。唇から伝わる熱に酔いしれそうになる。このままこんな乱れた俺たちの前をスニョンが通ればいいのに、なんて。最低な考えに自嘲が漏れる。
「嫌いな女にキスするんだ？」
WZ「おまえだって拒まねえくせに」
「私はジフナが好きだもん」
WZ「……」
「スニョアを利用してジフナに近づいた私を軽蔑する？」
そう言って妖艶に微笑むAに、落ちた音がした。
夢中でAを味わって。服に忍ばせた手にAの身体が反応を見せると何とも言えない感情に支配される。紅潮したAの頬は、最早俺を誘っているようにしか見えなかった。
WZ「スニョアの女だって知ってて手を出してる俺も同罪だろ」
「ほら、優しいじゃん」
WZ「バカじゃねえの」
少しだけ騒がしくなってきた廊下。その中にスニョンの声を見つけて、俺とAが見つめ合う。
WZ「俺と一緒に、スニョアを傷付ける覚悟が出来た？」
「…ジフナが私を、愛してくれるなら」
WZ「愛してやるよ。その代わり、抜け出せなくなっても知らねえから」
そう言った俺にAは笑って首に腕を回してくる。
抜け出せなくなるのはどっちなのか、それすらもわからなくて。
すぐ近くで響くスニョンの声が、まるで刺激剤のように俺の脳を痺れさせた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋夏
| 作成日時：2020年3月27日 15時
