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「ジフナ！」
「わぁ〜ジフンくん、久しぶり！」
「相変わらずクールだなおまえ！」
同窓会開始の時間を大幅に過ぎて参加した俺は、名前も思い出せない同級生たちに囲まれていた。うっすらと覚えている顔なのに名前が思い出せないのは、多分俺が当時からクラスメイトに興味を持っていなかったから。
久しぶりだの、元気そうだの、適当に会話をしながら会場を見渡す。スニョンの姿もAの姿もなくて、2人揃って遅刻かよ、なんて気分が萎えはじめた。
WZ「…帰るかな」
喫煙所で煙を吐き出しながらそう呟く。そもそも来る気もなかったのに、Aが来ると聞いただけでノコノコやって来た自分がバカみたいで笑えた。会ったところでどうするつもりもねえくせに。
煙草の吸殻を灰皿に捨てて喫煙所を出た時、
「ジフナ」
懐かしい声が、俺の耳に届いた。
WZ「…A」
「久しぶり。元気だった？」
そこにいたのは大人っぽく、色っぽくなったAの姿。スニョンの言う通り綺麗になったわ、なんて思っていたら、一歩ずつAが近づいて俺の前で足を止めた。
「おーい、ジフナ？」
WZ「っ…ああ、久しぶり」
「相変わらず素っ気ないなあ。8年振りだよ？」
俺の目の前に立ったA。目線はわずかにだけど俺の方が高くなっていて、なんだか少し嬉しくなった。
黙ったままの俺に、ジフナ、と再びAの声が響く。
「ジフナ、会いたかった」
WZ「…勝手にいなくなったのはおまえだろうが」
「だって、ジフナってば私のこと全然相手にしてくれないんだもん。昔から私に興味なかったよね」
8年振りだと言うのに昔のままのAに、心の穴が少しずつ埋まって行くような気がした。ぽっかりと空いた心の穴に、Aが満たされていく感じ。
WZ「バカじゃねえの」
「え？」
WZ「単に、おまえの取り巻きが、ウザかっただけだっつうの」
おまえに興味が無かったわけじゃない。どうでも良かったわけじゃない。
人に囲まれて、周りを伺うように笑顔を浮かべて…人気すぎるおまえに、吐き気がしていただけだ。
「それってつまり、私も嫌だったんじゃないの？」
WZ「八方美人のおまえが嫌い」
「…はっきり言うね〜」
困ったな、なんて苦笑しているAの腕を掴んで引き寄せると、Aは少しだけふらついて、俺のジャケットを掴んだ。
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作者名：緋夏
| 作成日時：2020年3月27日 15時
