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HS「A、なにしてんの？」
「ジフナと音楽聞いてたの」
俺と一緒に聞いてた、みたいな言い方が気に喰わなくて、おまえが寄って来ただけだろ、とAの身体を押し返す。スニョアのとこ行けよ、と言えばAはまた寂しそうな顔をして、俺から離れた。ただ、なんでか手は俺のジャケットを掴んでいたけど。
「最近ほんと冷たい。昔は可愛かったのに」
WZ「うるさい」
HS「なになに？何の話？」
WZ「何でもない」
俺達3人は幼稚園からずっと一緒にいた。いわゆる幼馴染みで、一緒にいるのが日常になりすぎていた。
その日常から一歩先に抜け出そうとしたのがスニョン。スニョンは俺より先にAへの気持ちに気付いて、俺を牽制するみたいに宣戦布告をしてきた。スニョンより気付くのが遅かった時点で、俺は負けたようなもんだと思う。そもそも、誰かと女を取り合うのは趣味じゃねえし。
Aもスニョンも校内でかなりの人気だから、多分2人が付き合っても何か文句を言う奴はいないだろう。ていうか、言えねえだろう。
WZ「はい、終わり」
「あー、ひどい」
何回目かのFearが流れ終わって、俺はAからイヤホンを奪い取った。まだ聞きたかったのに、と俺のイヤホンを奪い返そうとするAの腕を掴んで、しつこいと睨めばAは固まって俺を見つめた。
WZ「なんだよ」
「ジフナって、小っちゃいのに力は男だよね」
WZ「は？怒られたいわけ？」
「違いますー」
昔から俺とAの目線の高さは一緒。いつか俺の方が高くなるんじゃないかと信じて疑わなかった過去の俺に言ってやりたい。俺たちはどこまで行っても変わらねえよって。
黙って俺たちを見ていたスニョンがAの手を引いて視線を自分の方へと向けさせた。それを俺は席に座りながら横目で見上げる。
HS「A、今日部活ないから一緒に帰ろう？」
「あー…」
さっきの会話を思い出してAが俺に視線を移したのがわかったから、俺は知らんぷりをしてまた視線を逸らした。するとAは、ジフナも、と俺のジャケットを引っ張ったから、その手を払ってパスと告げる。
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作者名：緋夏
| 作成日時：2020年3月27日 15時
