*毒が広がっていく前に (ページ3)

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WZ「…だから、何？」
「なんで高校に入ってから、1人でいるの？」
WZ「別に。楽だし」
「1人が好き？それとも、私が嫌い？」
WZ「は？」
「私が近寄ると嫌そうな顔するもんね」
WZ「……」

Aのことを嫌いだなんて言った覚えはないけど、俺のこの態度がそう思わせてしまうんだってことはわかっていた。それでもプライドが邪魔をして、素直に表現できないだけ。
俺は幼すぎて、Aとの距離感がつかめなくなっていた。Aを意識すればするほど、近くにいられなくなって。求めてしまいそうになるんだよ。

そう心の中で思ったけど、言葉にする勇気はなくて。Aの寂しそうな表情に気付いていたのに、それを無視して俺はAからスマホを奪い返すと視線を下げた。

「ねえジフナ。今日予定ある？」
WZ「なんで？」
「帰りに話したいことあるんだけど…」
WZ「今日、おまえなんか予定あるっつってなかった？」

俺も大概意地が悪い。黙ったAに言い過ぎたことを察して、視線をまたスマホに落とした。

「ジフナに話したいことがあるから、みんなの誘い断わったの」
WZ「今話せばいいじゃん」
「帰り、一緒に帰れない？」
WZ「……だから、」

ガキの頃はいつも一緒に帰っていたけど。いつからかAと2人きりになるのが怖くなった。
いつか俺はAを無理矢理、俺のモノにしてしまいそうで。傷つけてしまいそうで怖かった。

そんな不安から、俺はAを避けはじめた。Aの気持ちも、自分の気持ちも、全部気付いているくせに。

WZ「…なあ、A」
「…っ、なに、」

相変わらずしゃがんで俺と目線を合わせているAの腕を引いて引き寄せると、Aの頬が赤く染まったに気付いた。
Aの心に踏み込んでしまいたくなった俺を牽制するように、教室のドアが勢いよく開いて聞き慣れたデカい声が響いた。

HS「A！」
「あ、スニョア」

スニョンの登場に、教室の女子が湧く。ああ、マジでうるさい。
でもスニョンはそんなの全然気にしていない様子で、真っ直ぐにAの元にやってきた。つまりそれは、俺の席。3人で一緒にいると、大体いつも周りが騒がしくて、2人のことが嫌なわけではないけど、この状況が俺は好きじゃなかった。

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