*毒が広がっていく前に (ページ15)

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WZ「つうかさ、さっきから俺とスニョアと比べんの、わざと？」
「さあ？」
WZ「そういうの、マジで嫌いなんだけど」
「うん、知ってるけど」

知ってんなら比べんなよ、とも思ったけど。知っててわざとやるところもAらしい。小さく舌打ちをしたらそのままバスローブを引っ張られて唇を塞がれた。

「ジフナの不機嫌な顔、好きなんだよね」
WZ「は？なんで？」
「別に、ただタイプなだけ。その顔で見下ろされるとゾクゾクする」
WZ「…バカじゃねえの？」
「バカなのかもね」

そう言ってAは楽しそうに笑ってまたシャンパンを飲み始める。どうやらこいつはマジで酒が強いらしい。

「あ、でも笑ったジフナも好きだよ。めちゃくちゃ可愛い」
WZ「……」
「高校の時、1回だけ髪の毛ピンクにしたことあったでしょ？」
WZ「ああ…」
「めちゃくちゃ可愛かった」
WZ「…あっそ」

俺が可愛いと言われることが大嫌いなことも知ってるくせに。マジでAって性格が悪いのかも。俺も人のこと言えないけど。

WZ「つうか、過去の俺の記憶、消してくんない？」
「やだ。可愛いジフナを忘れたくないもん」
WZ「今も可愛い？」
「…今は、男らしくてドキドキする」
WZ「じゃあ、せめて俺といる間だけは、スニョアの事なんか忘れてよ」

おまえの笑顔も言葉も仕草も。
記憶に刻まれて引き返すことなんて出来なくなった。

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