瑠璃 ページ11
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お嬢 side
さて、ここから。
オークションの目玉となる商品の登場に合わせてオークション会場内に居ることができる人物は制限される。
本当に一部の人々にのみ、その商品を得る権利が与えられる。先程と比べると、会場にいる人数は半分以下になっていた。
その権利を持つ者の付き人や護衛、親族でさえ会場内には残れない。
私は父親の代理であるため、父親の権利を持ってその場に残るが。
『 こちらA、ターゲットはステージから見て2時の方向、ステージ付近に移動してる。』
_______.
「 さぁ、こちらが最後の商品となります。ここにいる方々しかお目にかかれない代物、"人魚の涙"です!」
オークションの目玉は人魚の涙という、怪しく青く輝く宝石。
その宝石のお披露目のタイミングで…
バンッッッ
_______ 会場内の照明が落ちる。
もちろん、偶然起きた停電などではない。私の合図で作戦が始まった証拠だ。分電盤を弄っているのは恐らくTAKAHIDEだろうな。
会場はざわめく。停電はほんの数秒。
そして、照明が戻る。会場内に居る人々は安堵し、オークショニアは真っ先に"人魚の涙"の所在を確認している。
その後、オークショニアも安堵していた。
それもそのはず、我々は"人魚の涙"に興味はない。
_______ とここで、オークショニアがオークションを再開しようとした時に、ある人が気づくのである。
「 あれ、
「 え、さっきまでそこに…あれ?いない…?」
「 どこに行かれたんだ?停電してる間に?」
周りは軽くパニックを起こしている。数人が外に確認に行ったが外にもいないようだ。
それもそのはず、我々によってそいつは誘拐されているのだから。
『 これで今日の仕事は終わりよ。私は残るけど、みんなは先に帰って。お疲れ様。』
_______ 人魚の涙が、悲しく光っているような気がした。
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作者名:m. | 作成日時:2022年11月17日 16時