嘘から生まれたボク Ⅱ (ページ24)

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Aside

玉は白い息を吐きながら空を見上げていた。

本当は仕事なんてない。

俺の仕事が始まるのは5日からで

本当はもっとゆっくり出来るけど

俺がそれじゃ困るんだ。

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朝9時。

最低限の荷物だけを持って

京都の駅に降り立つと

長くて黒い車が俺を待っていた。

運｢このままご本家に向かってよろしいですか？｣

池｢うん、いつも通り遠回りで｣

運｢承知致しました｣

みんな今頃どうしてるかなぁ…

ガヤもミツも海外行くって言ってたから

今頃空港にいるのかな。

舞祭組は今年休みないから

今日ぐらいは実家にいるのかな。

玉も実家帰るって言ってたし。

俺だけ……

どんどん気持ちが暗く深く閉ざされていく。

運｢どうぞ｣

目的地に着くと、運転手がドアを開けてくれる。

地に足をつけると

目の前には俺の母親と呼ばれる人が立っていた。

母｢遅い、あなたが1番最後｣

池｢すみません｣

母は小言を言うと、すたすたと先を急いだ。

挨拶もなしか…

まあ、いつものことだから別にもう慣れたけど。

母｢あなたが遅いせいで、朝から何度謝ったと思ってるの｣

池｢すみません｣

母｢私に恥をかかせないで｣

池｢気を付けます｣

俺の母親は、親には向いてない人だった。

普通の母親にはなれず

俺が3歳になる頃にはもう

立派に虐待をする毒親になっていた。

男｢明けましておめでとうございます｣

池｢おめでとうございます｣

大きな屋敷にこんなに人がいるのに

みんな小さな声で畏まっている。

男｢遅かったね｣

池｢すみません、先程着いたばかりで。

本年もどうぞよろしくお願い致します。｣

男｢こちらこそ、よろしくお願いします。

もうすぐドラマ始まるんだってね、楽しみにしてるよ｣

池｢ありがとうございます｣

母は俺がお腹にできると

周りの反対を押し切って

本家から飛び出して俺を産んだ。

だから俺が育った家は大阪にあるし

そして親戚一同、祖父を除いて

俺が女であることは誰も知らない。

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