嘘から生まれたボク Ⅱ (ページ19)

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北山side

大野くんを支えながら

マンションの中に消えていく後ろ姿を見て

俺はAとの距離を感じていた。

池｢ただいま｣

北｢ん｣

今日1日見てきたAは

俺の知らない、全くの別人を見てる気分だった。

北｢嵐さんと仲良いんだな｣

池｢お世話になったからね｣

さっきまでの笑顔は消えて

Aは俺らに見せるいつもの顔に戻った。

…なぁ、どっちがお前の本当の顔なんだよ？

北｢つか、普通車買う時とか相談しねぇ？笑｣

池｢ごめん、やっぱ報告した方が良かったな｣

北｢…やっぱ？｣

池｢それ、玉にも言われたから｣

北｢玉は知ってんの？｣

池｢まぁ、何回か乗せてるしね｣

北｢あ、乗ってんだ｣

話せば話すほど俺の知らないAがいるって実感する。

別に全部分かろうだなんて思ってない。

だけど、せめて…

免許取ろうとしてたこととか

どの車買おうか悩んでたこととか

そんなことは共有したかった。

北｢ホント最近、2人仲良いよな｣

俺はAのことを何も知らない。

さっき大野くんに言われた通りだ。

昔から、嵐さんとAは

何かと仲良いんだなぁとは思ってた。

Aから話しかけずとも

嵐さんの方から話しかけてくるし

そういうのは度々目撃してたから。

だけど、そうか。

大野くんがダンス教えてくれてたんだ。

初めて知ったその理由に、俺は納得した。

池｢眠かったら寝てもいいから｣

北｢ありがと｣

Aは俺にブランケットを渡してくれた。

それを口元まで被って

今日大野くんに言われたことを

もう一度、頭の中で再生した。

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