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俺はAのヒモではなく、れっきとした社会人(保育士)なので、平日の朝から夕方までは家をあけている。



やっぱりよく言われているように、保育士は激務やし、やることだらけで、ストレスも疲労も溜まる。



でも、子どもたちの桐山先生と呼ぶ声が、俺にエネルギーをくれるし、休みの日はよくAの家に出向いて癒やしオーラを体中に纏うから、なんとか頑張れている。



…あれ、俺の住んでる家、ほとんど帰ってないな。



と思ったのでAの家に引っ越していいか聞いたところ、二つ返事で快く承諾してくれた。



むしろ僕の体調管理をしっかりしてもらえるし、家賃とかその他諸々は払うからご飯はお願いしたいな、とまで言われた。



わしゃ主夫か。
お金の面はめちゃくちゃ助かるから、全然やるけども。



まあそれはともかく、そう言い出してからはトントン拍子で事が進んだ。



家どうしはかなり近かったし、そこまで荷物が多い方ではなかったので、引っ越しはかなりスムーズに進み、早いうちに終わった。



Aの家には肌なじみがあったし、俺の生活用品も多くあったから、ものの一週間くらいでAとの共同生活は慣れてしまった。



変わったことといえば、ひとつだけ。



「きりやませんせい、匂いかわったね!」



「匂い〜?そぉかな?変えた記憶ないんやけどな〜」



「なんかねー、げんきー!ってかんじの匂いから、ふんわり、ってかんじの匂いになったよ!」



将来匂いフェチになりそうな女の子にそう言われた。
変わったってことは、Aの匂いが俺についたんかな。



「ほんまー?先生のお友達と一緒に住んどるからかもしれへんなぁ」



「おともだちと住んでるの?いいなー、きりやませんせい、おともだちのこと好きでしょ!」



この年頃の女の子はおませさんで微笑ましいなー、なんて心のなかでにやつく。



「そりゃもちろん、好きやで!」



「ほんま?れんあいてきないみで、好き?」



「うーん、どぉかなぁ。ひみつ。ほら、そろそろお昼寝タイムやで。お布団準備しよ!」



「きりやませんせい、ひみつしゅぎだー」



なんて、どこで覚えたんかわからん言葉を使いながら、お友達と楽しそうにお昼寝の準備を始めた。



…Aを、恋愛的な意味で好き、か。



そんなん、考えたこともなかったな。

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作者名:ひるた | 作成日時:2023年1月28日 1時

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