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その夜、悟はやけに遅くに帰ってきた。
『遅かったな』
「んー、ちょっと長引いちゃって。ごめんごめん、お土産買ってきたから!」
だから拗ねるなよーと頭をよしよしと撫で回す悟に、『拗ねてない』とその手を払い除けた。
「…何それ」
『あ?…いッ』
なにか言ったと思えば、悟は私の手首を強く掴んだ。
「何、この包帯」
もう気づいたのか、さすがだな。速い。
『…何でもない』
「なんでもなくないでしょ、これ、昨日まではなかったよね。…外すよ」
『オイ、ちょっ…』
強引に包帯を外すと、見えたのは痛々しい傷跡…
____の、偽物。
所謂リスカドッキリ、ってヤツだ。
勿論実際やって、なんて事はしない。どれだけ病んでいても痛いのは嫌いだ。生憎そこまでして振り向いて欲しいと思えるほどイカれてない。
だから、偽物で奴の反応を試す。
の、だが。
なんだか、タダじゃ済まなそうだ。
「…何これ?」
『…切った』
「なにで?いつ?」
『…カッターナイフで、今日』
「なんでカッターナイフなんて使うの?使う必要無いよね?」
『…どうでもいいだろ』
「良くねぇよ」
ギリ、と私の手首を掴む悟の手の力が強くなって、私の骨が悲鳴をあげる。
『…っい、痛ッ…離せ』
「何でこんなことしてんの。
…勝手に自分の身体傷つけんじゃねーよ」
傷つけていいのは俺だけって決まってんだから。
と言うと、どこからか悟は、徐にカッターナイフを取り出した。きりり、と音を鳴らして小さな刃が姿を見せる。
な、何?
と、思う間もないまま、
悟は、そのカッターの刃を、私の肌に押し込んだ。
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グミ(プロフ) - みーこ【サブ】さん» 出来ますよ!いえいえこちらこそ何度もリクエストありがとうございますー! (2021年1月8日 15時) (レス) id: 763fbac217 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ【サブ】 - リクエストで、熱が出ちゃったら、ってお願いできますか??何度もすいません! (2021年1月7日 19時) (レス) id: fd540dc306 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ【サブ】 - グミさん» リクエスト、応えてくださってありがとうございます!五条先生のヤンデレ感が加速していて、すごくおもしろかったです(笑)更新頑張ってください! (2021年1月4日 8時) (レス) id: fd540dc306 (このIDを非表示/違反報告)
みどりちゃ。(プロフ) - 五条先生がヤンデレってトコが性癖にグサッと刺さって、いつも楽しみです!更新頑張って下さい! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 2c92b3b212 (このIDを非表示/違反報告)
グミ(プロフ) - みーこ【サブ】さん» リクエストありがとうございますー!全然できますよ!是非作らせていただきますー! (2021年1月1日 12時) (レス) id: 763fbac217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グミ | 作成日時:2020年12月3日 7時