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🍶 ページ11

「…どうした?そんな震えて…顔も真っ青だ。まるで産まれたての子鹿みたいじゃあないか。可哀想に…だが人と話すときは目を合わせないと駄目だ。特に相手が敵だとしたら、いっとう目を離さないように注意しなければいけない。折角目線を合わせてやってるのにどうしてこちらを見ないんだ?…何か言え、今わの際かもしれんぞ。」

「避けて通せ酒の酔い、て言うだろ?…んふ、何が言いたいか分かってなさそうだなあ。今直ぐ失せろって言ってんだよ、今なら見逃してやれるから。」

「怖くないのかって、変なこと聞くんだなあ。怖くないよ、別に。__俺は戦場に死にに行ってるわけじゃない。勝ちに行ってるんだ。勝つために刀を振るし、その為なら多少の怪我は致し方ないだろ。…それに、さ。俺に勝ち以外は用意されていないんだよ。だけど、そうだなあ…不思議と勝てなかったとき、完敗を喫したときに、ようやく肩の荷が下りる気がするんだ。」

「俺たち妖の時間は永久に等しくて、一定以上の強さなんてものは生まれたその時から約束される。そんな人よりも遥かに恵まれた妖が、本来であれば圧倒的な力にねじ伏せられるのみだったはずの人間の手で死を選ぶ羽目になった所を何度も見てきた。…何が言いたいのかって、そうだな。人間をあんまり舐めすぎない方がいいんじゃないかってことだよ。」

「__人間を舐めすぎない方がいいとは言ったが人間が妖よりも上だとは言っていない。少々おいたが過ぎるぞ人間、笑って許してやれるうちにやめておけ。」

「人は何か勘違いしているけれど、妖は決して親しみやすいような存在じゃない。元人間だとか、人間に近い姿をしているだとか関係なく狡猾で、強欲で、それでいて得体のしれない存在だよ。_なあ人間、お前に妖の何が分かる?十数年やそこら程度しか生きていないお前は俺の理解者足り得るのか?」

「_はみ出る内臓の匂いにも、むき出しになった骨にも、焼け爛れて見るも無残になった死体にも、何もかもに慣れている。俺は平和な世に似つかわしくない殺ししか知らない妖だよ。無駄に長い時間を生かされてきた、ただの死にぞこないだ。」

「…殺す以外の戦い方を、俺は知らない。」

「なりふりが待ってられないなあもう!共闘?合わせたいならお前が俺に合わせろ。ほら前向け、足引っ張るなよ、今から勝ちにいくぞ!」

「___鬼に横道なきものを」

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作者名:ろぺ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年1月6日 14時

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