リトル・ヒアー III (ページ9)

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109dB ページ9

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深田｢湧くんバトン頼みましたよ！｣

｢お前も転けんなよな！｣

何競技に出てんだってくらい、今日はあっちこっちに出場しまくってて

もちろん最後の対抗リレーにも出るために練習してきたから、出番が来るまでフィールドでスタンバイ。

男女混合1人200mで

アンカーの深田にバトンを渡すのが俺。

…ちょっとだけ、緊張する

見といて、なんて言ったもののAがいるのは反対側のトラックの方で。

あーあ、アンカーくらい足が速かったら最後の1周で長く走れるし、めちゃくちゃかっこいいに。なんて。

でも＂うん＂って言ってたし。あいつ超目いいし。
きっとちゃんと見てくれてる。

そんなことを思ってればピストルが鳴って1走目の子達が走り出してた

やっぱり対抗リレーなだけある。みんなバカみたいに速い。

今始まったようなもんなのに、もう2走の人にバトンが渡る

『3走目の人たち準備してー』

遠くに見える赤いハチマキは…今、3番目だ

いけるか、？2番目とのあの距離…

でもやってきたからには1位取りたいし。

そのためには俺が1人抜かさなきゃ、きっと深田も前に出れるかどうかぎりぎりの距離で。

｢ふう…｣

A｢わくっ、！！｣

｢、は？｣

A｢がんばれ！！｣

なんでこっち側にいんだよ

のえるくんこっから見てなねって言ってたじゃんか、

必死に声のする方を向いて探したAは、

A｢がんばれー！！｣

颯太｢わくファイトー！！！｣

颯太におぶられて、今日4回目の＂がんばれ＂を叫んでて

どうせのえるくんにわがまま言ったら、さっきみたいに誰かに移動手伝ってもらうならいいよ。とか言って許してくれたんだろうな、なんて。

しかも他のみんなはゴール側にいんのに、あいつら2人はこっちで一緒に応援かよ

…ほんとかわいいやつら。

こんなに応援されて、本気出さねえわけにはいかねえじゃん俺。

『湧くん！』

｢任せろ、｣

やば、俺今までで一番速いかも。

なんて、横目に追い抜いた奴を確認して
にやけそうになった顔を、一生懸命唇を噛んでごまかした。

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