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どうしてこんな大切な日に、バイトを入れてしまったんだろう
休み申請を出せば、きっとお休みにしてくれたのに。
予想外に延びてしまった終わりの時間に、慌ててお店をとび出した。
｢、わく｣
湧 ｢おつかれ。｣
こんなに寒い中、ずっとそんな場所にいたの…？
鼻の頭が赤くなったわくに、なんだか目頭が熱くなった。
｢わく、｣
湧 ｢なに｣
｢私もわくのこと、大好きだからね、喜んでほしくて。…だから内緒にしたりして、ごめん｣
湧 ｢それはもういいって、…え、喜ぶ、ってなに？｣
｢これ、お誕生日おめでとう、！
朝とか寒いから、巻いてくれたら嬉しいなって｣
湧 ｢は？…まって、これ俺に…？｣
｢うん。プレゼントしたくて、バイトはじめたの…｣
赤いその袋を開けて立ち止まってしまったわくは、嘘だろ…なんて顔を片手で覆ってしまっているから全然顔が見えない。
湧 ｢なんだよ、全部俺のためかよ…
ほんっと、もー、｣
わしゃわしゃと撫でながら頭の上に乗った手が、冷たいはずなのにあったかい。
喜んで、くれた…？
湧 ｢すっげー嬉しい…ありがとな、｣
｢えへ、
わく、…だいすき｣
湧 ｢俺の方が好きだし。…てかAがいればそれでいいから。だから来年も一緒に居て…祝って。
ちょっと寂しいから 今度はないしょ無しで。｣
｢ふふ、うん…！｣
今日は誕生日だから、照れないで伝えるね。
ぎゅっと抱きしめればもっと強く抱きしめ返してくれるその腕がだいすきだよ
頭を撫でてくれる手のひらも、太陽みたいなその笑顔も、好きって言ってくれるその声も。
ぜんぶぜんぶ、わたしはやっぱりわくが大好きだ
次の日の朝、首に巻かれたチェックのマフラーから覗いた耳が真っ赤だったところも
ぜんぶ、ぜんぶ。
ちょっとだけ今年はごめんねが付いてきちゃったけど
お誕生日おめでとう、わく。
来年もその先もずっと、あなたの隣にいられますように
.
fin.
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年8月31日 21時
