リトル・ヒアー III (ページ34)

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Aわく、ごめんね

家に帰ってから送ったメッセージも
いつもならすぐ返事が帰ってくるのに、ずっと既読がつかない。

颯太の言う通り、やっぱり怒っちゃった、、。

バイトをしてることへじゃなくて、きっとそれを颯太と2人で隠してたことへの怒り。

ここまで既読もつかないとどうしたらいいか分からなくて、もうずっと携帯の画面とにらめっこをしている。

…電話、してみよう、かな。

明日は11月26日。

このまま明日も会うなんて絶対にいやだもん…ちゃんと｢ごめんね｣って言って、誤解を解かなきゃ、、

意を決して押した、＂通話＂のボタン。

鼓膜に響くコール音に、ドクドクと心臓が波打つ。

｢…でない、かあ｣

終了ボタンを見つめて、指を近づけた時だった

湧『、なに』

｢、！｣

出てくれた…それだけで少し声が震えてしまいそうだけど、もたもたしてる場合じゃない、！

｢あのねわく、…ごめんね｣

湧『…電話、一瞬出てやんねーって思ったけど

やっぱ俺お前好きだし。…ちゃんとAから聞きたいから、』

先に帰ってしまった時みたく、突き放す話し方ではなくて
それはちゃんと受け入れようとしてくれてるもので。

きっと上手くは言えないけど、どうか伝わってほしい

｢…ありがとう、

あのね、隠しててごめんね。颯太にもほんとはないしょだったの…でもこの前バイトしてる時にバッタリ会っちゃって、それで颯太は知ってただけで

ほんとに、たまたまだったの。わざと2人だけでとか、わくのこと仲間外れにしたとかじゃなくて、｣

湧『でも颯太に言ったなら、俺にも話して欲しかった。』

｢うん｣

湧『颯太が知ってて俺が知らないことあんの、やだったんだよ、

だってお前の彼氏なの、俺なのに、』

｢…うん。｣

湧『俺もあんな言い方して…ごめん。』

｢わくは悪くないよ、…ごめんね。｣

ごめんごめんって、2人してそれしか言葉を知らないみたい。
ひとまず解けた誤解に、ほっと胸を撫で下ろした。

湧『明日は？バイトあんの？』

｢うん、20時まで｣

湧『は？おっそ、迎えに行く。』

｢え、遅くないし大丈夫だよ1人で｣

湧｢だめ、絶対だめ。俺行くまで絶対帰んなよ。｣

｢ええ、｣

ブチ、っと切られてしまった電話なのに少し嬉しいのはどうしてだろう

もう少しで日付が超えるなら、そのまま祝いたかったなあ。って
まだ25のままの文字盤を眺めた。

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