リトル・ヒアー III (ページ23)

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ユア・ハンド（*spin-off）ページ23

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Waku side

｢ふう、…｣

めずらしく朝から整えた髪。

服も…まあ、それなりに選んだりした。

いつもあいつん家に行く時だって、こんなにかっこつけたことはないのに。

だけど今日はやっぱり、なんつーか

Aが俺の彼女になってから初めての

＂デート＂だし、、？

｢やべっ、遅れる｣

洗面所の鏡と格闘していれば、大音量で鳴り出したアラームの音楽に

急いで玄関まで走って、スニーカーに突っ込んだ両足。

別に家も隣同士だし、どっかで待ち合わせとかしてるわけじゃないけど。

だけど＂こんぐらいに出るか＂って2人で話した時間よりも、ちょこっとだけ先に家を出て
Aん家の前で余裕ぶって待ってみたり。

あー、もう少ししたら免許取って
かっこよく車で迎えに来たりできんのになあ。

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A｢、！おはようわく｣

｢…！おはよA｣

ｶﾞﾁｬ、と開いたドアの音に振り返れば

時間がすぎたと思ったのか、慌てたAが時計を見出すのが可笑しくて。

これからデートってことの嬉しさよりも、その姿に笑ってしまう

でも、こんな余裕ぶってられるのもたった数秒だったみたい。

｢っ、行くか｣

A｢う、ん｣

まって、ちょっと待って。

なんかキラキラしてるAの瞼に、
いつもより血色のいい頬と唇。

くるん、とあがったまつ毛も、あれもこれも
見慣れてるはずのこいつの顔じゃなくて。

メイクしたAがこんっなにかわいいなんて、

俺、聞いてねえんだけど、！

A｢？どうしたの…？｣

｢いや、なんでもない｣

もしかして、今日のためにメイク練習してくれた？

俺のために、かわいくしてきてくれたの？

そんなこと、考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうで仕方がない。

顔を覗き込んで来たAから必死に熱い自分の顔を隠してるこの時点で

やばい、今日俺大丈夫かな？なんて。

心の中で1人頭を抱えたところで、デート
スタートです…。

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