【鬼灯の冷徹】子狐こんこん肆

子狐と鬼灯様のとある日のデート。 ページ24

極楽満月が定休日のとある昼下がり

桃太郎も白澤も留守で、Aは久しぶりに家で鬼灯と薬草研究デートを楽しむ予定である。


｢鬼灯様！次この薬草も混ぜてみたいです！｣

薬草を取りに行っていたAはウキウキと店へと戻ると、

道具を準備し終えていた鬼灯が椅子に座り眠っており、Aも隣の椅子へと腰掛けた。


｢最近更に忙しそうだったから…｣


最近仕事が忙しく、寝る時間も減っていたようで

今日のデートも無理をしなくてもいいと言ったのたが鬼灯は来ると言って聞かなかった。


｢んふふ｣

申し訳なさの反面、嬉しさも相まって

寝てるなら口付けをしてみようかと頬へと顔を近づけた。


｢大好きですよ｣


グッと肩に回された腕に引き寄せられ、

Aは鬼灯の胸に抱かれる形となった。

一瞬起きた！？と思ったAだが鬼灯はすやすやと眠っている。

それに安堵した後、今度は自分の状況に気恥しくなってきた。

抱擁は何度も交わしたが、自分が抱き枕のような感じになるのは初めてで

しかし、鬼灯の眠りの休息の手伝いが出来ているようでどこか誇らしく思う。

暖かい体温と、胸から聞こえるゆっくり刻まれる鼓動、大好きな匂い

それらにAも眠気が誘われてゆっくりと瞼が落ちてきた。









仕事が忙しくて、Aさんと会う所か見かける事も減って

薬草の研究の約束をしていた日が近づくにつれ

あと少しで会えると楽しみでたまらない自分がいた。


約束の日、開いた戸から嬉しそうに顔を出し

いつもと違う色の口紅をつけ

楽しそうに使いたい薬草の話をする彼女に

今までの仕事の疲れが少しずつ抜けていく感じがした。


道具の準備を終えて薬草を取りに行ったAさんを待っていると、

店はいつも彼女からする匂いがして

少しずつ眠気が誘われてきた。



｢大好きですよ｣



ふとAさんの匂いが強くなり、声が聞こえ、

もっと近くで感じたいと

その小さく、柔らかい毛を持つ身体を自分の胸に抱えた。

離れないように大事に…大事に…。









｢ただいまー｣

帰宅した桃太郎は店でくっついて眠るA達を見つけ、

｢白澤様が帰ってくる前には起こすか｣

と薄手のブランケットを2人にそっとかけてあげた。






✱おまけ✱


白澤が帰宅した時には鬼灯の姿はなく、

｢こんちゃ…｣

いつもより強く鬼灯の匂いが移り、そわそわするAに

白澤は｢あの野郎！｣と出ていこうとする所を桃太郎に止められた。

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