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子狐と狐兄妹。 ページ42

「妲己姐さんいますか?」

花割亭狐御前に訪れたAに妲己は快く出迎えた。


「ついにうちの店の従業員になる気になったの?」

「白澤様のツケを代わりに持ってきただけです」


妲己は残念そうにしながらお金を受け取り、計算をしていく。

確認し終えた後に「はい。これ領収書」とAに紙を渡した。

Aが帰ろうと向きを変えた時、慌ただしく檎が女の子ときつね3匹を連れて店へと雪崩込んだ。


「一体どうしたのよ」

「いや、あの狸に追いかけられて…」

「まったく。あのデブ狸ね…」


一方Aの方は檎と一緒になだれ込んで来た狐達と女の子に覚えのある匂いを感じ取った。

「あ!オジヤさん達!」

「あ!Aのお嬢久しぶりー!」

「閻魔庁に就職したって聞いてたぜ」

キャッキャはしゃぐ兄達と狐の耳と尻尾を残したままの女の子。

どこか見覚えのあるその子にミキは「知り合い?」と兄達へ訊ねた。


「昔ちょっとな。一時期バイトしてた時もあったし」

「へー…でも、Aって名前どこかで…」


そこへ妲己が「Aちゃんは鬼灯様の婚約者よ」と

伝えると野干兄妹は

「えー!!」と声を上げて大騒ぎである。


「まじか!おめでとう!」

「まさか本当に結婚するとは…」


鬼灯という単語でAの事を以前鬼灯自身から聞いた事ある事と、

マキも一度会ったということを思い出した。

「ミキちゃんですよね…?」

モジモジと恥ずかしそうに名前を呼ばれ、ミキは我に返る。

「プライベートなのにすみません。小さい頃から応援してました!」

さすがはプロのアイドルの為、笑顔で対応するミキは今自分達が狐である兄達と一緒である事に気づき、

猫キャラとして売っている自分としてはかなりマズイのではないかと思考を巡らせた。


「え、えっと今日の事は…私の身内の事は内緒にしててほしいにゃーん…」

「ミキちゃんが野干なの知ってますよ?」

Aの言葉にミキは「え?」と顔を青くして脱力する。

小さい頃から匂いで野干だと気づいていたという説明を聞き、一瞬の自分の不安はなんだったのかと嘆いた。


「Aちゃん、元野生だし完全な人体系の変化じゃないから他より鼻が効くのよ」

「な、なるほど…」




「ゴラァ檎金返せえええええええ!!!」


店の外から聞こえる大きく野太い声に

皆は一斉に視線を店の外へ向けた。


「ちっ…来たか」


その時、Aは自分は何か面倒な事に巻き込まれたのではないかと予感した。

子狐、巻き込まれます。→←子狐、怪我をしました。後篇



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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