子狐、怪我をしました。前篇 ページ40
いつものように発注書を鬼灯の机に持って行くと、茄子達が大量の荷物を運んでいた。
｢わ、それ何？｣
｢亡者達の供物とか配達された荷物だよ。今日のは多いし重いしで大変なんだ｣
｢あ、薬剤部の荷物も届いてる。これ貰って行くね｣
少し大きめの箱を抱え、戻ろうとしたAは足元がよく見えておらず
床に落ちていた巻物を踏み、バランスを崩した。
｢あ…｣
｢全治1週間。軽い捻挫で済んで良かったわね
激しい運動はしないように｣
医者の診断にか｢マジか…｣と思いながら氷で冷やされる自分の足を見つめる。
｢A大丈夫ー？｣
たまたま近くに居合わせたシロ達も医務室に付き添い、心配そうに傍にいた。
｢そんな…明日は久しぶりに鬼灯様とお出かけなのに…｣
｢怪我しちまった物は仕方ないだろ｣
かなり久しぶりに取り付けた鬼灯と2人で出かける約束。
今回は前回のデートのリベンジもあってAはとても楽しみにしていたのだ。
｢…鬼灯様、今日は烏天狗警察の義経さんと現世に行ってて今日の事はまだ知らないんだよね…｣
ポツリと呟いた事に考えを察したルリオと柿助は全力で止めにかかる。
それは勿論後々の事を考えてのことだ。
｢デート行きたいのはわかるけど鬼灯様にバレた時がやべーよ！｣
｢あの人、Aが無理したって知ったら怒る所じゃ済まないぞ｣
2匹の言葉に一瞬バレた時の事を想像したAは身震いをしたが
｢大丈夫。ちゃんと考えてる｣
と言い、3匹は不安しかなかった。
｢おまたせしました｣
｢いえ、大丈夫です｣
今回は何の問題もなく待ち合わせ場所で会うことができた鬼灯とA。
そんなAの今日の服装はロングスカートに足首まで隠すブーツを履いていた。
靴の中には保冷剤を仕込んでおり、ブーツとスカートの2つによって保冷剤が見えることはない。
足の怪我を悟らせず、悪化させない為の対策であった。
｢今日は近くの図書館ですよね。楽しみです｣
薬草関連の本が多いと言われている図書館に行く予定だったので幸い歩く時間は少ない。
｢鬼灯様？｣
歩きだそうとしない鬼灯に声をかけるが、当の本人はただAをジッと見つめているだけである。
｢Aさん、何か隠してる事がありませんか？｣
その質問に一気に冷や汗が溢れてきて、誤魔化すべきか正直に話すべきか迷いが生じ、
それを悟ってか鬼灯は静かに言葉を発した。
｢シロさん達からAさんが足を怪我したと伺ったのですが｣
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鈴(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (
レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2020年7月2日 3時
