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子狐、デートします。 ページ36

仕事が終わり、Aは身支度をして鏡で何度もチェックをする。

「化粧、髪は大丈夫。ハンカチも持ってる」

Aが浮き足立っている理由は一つ。


初めて鬼灯と『二人』だけでデートするのだ。


待ち合わせ場所の植物園の前に着き、

時間を確認すれば約束の時間までには余裕がある。

「ドキドキしてきた」

そう思いながらもAは楽しみで仕方なかった。





仕事の処理が一段落し、時間を確認すれば丁度定時の時間であった。

「約束の時間までには充分間に合いそうですね」

今日はもう仕事を上がる事を閻魔大王に告げると、珍しい現象に驚いた声を上げた。

「鬼灯くん珍しいね。どうしたの?」

「いえ。ちょっと用事があるので」

鬼灯が仕度をしていると、一人の獄卒が慌てて駆け込んできた。

「大変です!今日最後に裁判をした亡者が逃げ出してしまいました!」

「何をやってるんですか!!」

鬼灯はすぐに金棒を持ち、獄卒に案内されて走って行った。









携帯で時間を確認すれば約束の時間はかなり過ぎていた。

「仕事で何かあったんだろうな」

外は暗くなり始め、植物園にいた客達は皆帰り始めている。

出入り口の所にいた初老の職員はずっと待っているAを心配して声をかけた。

「あと30分で閉園だけど大丈夫かい?」

「大丈夫です。もうすぐ来ると思うので」


その頃、鬼灯は捕まえた亡者を獄卒へと引き渡していた。

ボコボコにされた亡者はよっぽど怖い思いをしたのか戦意喪失をしている。

「ありがとうございました!」

「私はこれで…」

鬼灯は時間を確認すれば待ち合わせ時間はかなり過ぎており、

Aに連絡しようとした時、携帯の画面が落ちた。

「充電が切れた…充電してる暇はないですね」









閉園まであと5分。

外はすっかり暗くなり、人気はない。

外灯に照らされて出来た自分の影をAはボンヤリと眺めていた。

何度か鬼灯にメールを送ってみたが返事も返ってこない。

「忘れちゃったのかな…」

帰ろうと方向を変えた時、地面に自分とは違う影が伸びていた。

顔を上げると少し息を切らした鬼灯が立っている。

「遅くなってすみません」

「鬼灯様…」

Aはこっそりと浮かんでいた自分の涙を拭う。


「後少しですが、入りますか?」

初老の職員が二人に声をかけた。

「いいんですか?」

「閉園も5分延長しますね」


8分間だけの夜の植物園デートは短かったが、とても幸せだったそうだ。

子狐の不得手。→←子狐デートの約束をします。



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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