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子狐、看病します。 ページ1

Aの異変に気づいたのは桃太郎であった。

転職事件の際、鬼灯と話すAを見守っていたのだが、


『それに、私はAさんの魅力を知っている』


魅力がないと悩むAに鬼灯がかけた言葉。

慰めと事実(…のはず)からかけた言葉に全身を真っ赤に染め上げるAに

「んん…?」

と疑問が浮かんだ。

やけに過剰反応しすぎではないかと気になり、隣にいる白澤に意見を聞こうにも

酒狂い上司は転職が本気でないと知っての安心からか、

飽きていつの間にか酒を飲みに離脱していた為、聞けなかった。


いや…俺の勘が当たっていれば争いが起きる…。


過去に幼いAが恥ずかしそうに俺に耳打ちした

『Aね、鬼灯様のお嫁さんになりたいの』

その言葉が改めて鮮明に思い出せる。



「え?あれってもしかして…今も進行形?」



それと同時に幼い時の他愛もないものだと決めつけ、

シロ達にこの事を話してしまった事も思い出した。

「俺…なんかマズイことしたんじゃ…」





時は進んで数日後。





「風邪です」

「いいえ。違います」

今日はやけに診察室が騒がしく、薬剤部も思わず顔を出した。


「今日はやけに食い下がる患者さんがいるね」

「あ…それが…」

近くにいたアヤメに話しかけると、彼女は気まずそうに苦笑を浮かべた。


「だから鬼灯くん。それはどう考えてもう風邪なの」

聞き覚えのある優しい声と名前にAは理解するのに数秒も要してしまった。


「私が風邪なんかになったら誰が閻魔大王が仕事サボらないか見張るんですか!!」

「そんなにワシ信用ない!?

 第一、熱が42度もあるのに仕事しようなんて無茶だよ」

「問題ありません!ただ閻魔大王の顔が金魚草に見えるだけです!」

「それ十分重症だから!それに本当はキツイんでしょ!?

 顔がいつもより増して凶悪だよ!?」








数十分の押し問答の末、鬼灯は自室のベットにて伏せる。

数回のノックが聞こえ、「どうぞ」と入室を許可すると、

「鬼灯様、薬膳粥持ってきました」

Aがおかゆの入った土鍋を持って入ってきた。


「すみません」

「いえ。身体どうですか?」

「熱を出したのは久し振りなので正直キツイです」


鬼灯が粥を食べる間にAは1回分の薬と湯呑に水を入れて準備をする。

「ここに薬置いてますね」

「ありがとうございます」


珍しく弱っている鬼灯の姿にAは緩みそうな顔を必死に堪えたのだった。

子狐、知ります。→



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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