孤爪姉のトリセツ【黒尾鉄郎】 (ページ38)

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トリセツ三十四ページ38

灰羽side

研磨「リエーフ」

研磨さんに呼ばれて行くと耳打ちされた。

研磨「多分烏野は普通の速攻をいっぱい使って来るようになるから、リードブロックに切り替えて」

「リードブロックって何でしたっk…あ、やべっ」

慌てて口を押さえるも遅かった。

A「……」

あぁ～～！Aさんが鬼みたいな顔で俺のこと見てる～～～！！

A「…トスがどこに上がるのか見てから跳ぶブロック」

「あっ、あぁ～！うす！」

研磨「…馬鹿リエーフ」

こ、こぇえ～！！

苦笑いしながら慌てて敬礼すると、研磨さんにジトッと睨まれる。

研磨「絶対覚えてないと思ったから小声で言ってあげたのに…声大きい」

「すんませんっ」

やっぱり研磨さんは凄いなぁ…
でも俺の中の1番はAさんだ。

入部して1番最初に目に入ったのは、安定したレシーブでももの凄いスパイクでもなく、Aさんだった。

一目惚れだった。
頭ん中が「かわいい」で埋め尽くされた。
こんなかわいい人がこの世にいたのかー！ってなった。

一緒に部活して知った、子供っぽい一面もかわいいと思った。
俺なんかよりもバレー上手で、マネージャーなのに指示が的確なのもかっこよくて惚れた。

Aさんは完璧な女の子だと確信した。

ある日、俺が「そんなに上手いのに何で女バレに行かなかったんスか？」と聞くと、Aさんは微笑んで「鉄郎がいるから」と答えた。

この人達が両想いなのは俺でもすぐに分かった。それと同時に「あー、こりゃあ敵わない」と、俺は思った。

だって、黒尾さんの方がカッコいいし、黒尾さんの方がバレーが上手い。
それはAさんが認めてる。

だから俺は、誰よりもいっぱいいっぱい点をもぎ取って、すっげぇカッコいいエースになって、Aさんに認めてもらうんだ。

　

バッと翔陽が跳ぶ。翔陽の速攻か！

「！」

違う。研磨さん達が言ってた…
トスを見てから跳ぶ！

ドガガッ！

「！！触っt((A「ワンタッチ！」ワ、ワンタッチ！」

ま、また怒られたぁぁ…でも、

夜久「チャンスボール！」

「シャッ！」

夜久さんからのボールをズドンッ！と相手コートに叩きつけた。

決まったッ！！と、バッとAさんを見る。

A「！…ナイスワンタッチ、ナイスキー」

「！！あーッス！！」

ぱぁあっと花が咲いたように嬉しくなる。

Aさんの褒め言葉。それがスパイク決めた後、今の俺にとっての何よりのご褒美だ。