孤爪姉のトリセツ【黒尾鉄郎】 (ページ32)

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トリセツ番外編ページ32

夢主side

これは6年前、私が小学校の5年生だった頃の話。

？？『こ、孤爪さん！』

昼休み、教室で友達とおしゃべりしてると廊下から慌てたように女の子が入ってきた。

隣のクラスの相田怜ちゃん。研磨と同じクラスだから仲良くなった。

怜ちゃんは息切れしながら私の元に走ってくる。

『ん、どーしたの怜ちゃん』

相田『孤爪くん…お、弟くんが』

『！研磨がなにっ』

相田『クラスの男子にちょっかいだされてて…！それで、』

『どこにいるの！』

立ち上がって強めに聞くと怜ちゃんはビクビクしながら『わ…私のクラスに…』と言った。

それを聞いて私は走り出す。

研磨は人見知りでゲームばっかやってるから、他の奴らが面白がっていじることがある。

私はそれを、姉として許したことはなかった。

ガラリとドアを開けると、男子3人が研磨の机を囲っていた。その中心には下を向いてる研磨。

そしてそれを更に囲む外野。この子たちは助けたいけど助けられない奴ら。

ドアを勢いよく開けたことにより、視線がこちらに向く。3人がビクリと肩を震わせて、外野が安堵の表情を浮かべた。

男子『やべぇ！孤爪の姉貴だ！』

男子『に、逃げようよ！』

『ねぇ、』

ずかずかと教室に入り、研磨の机に近づくと、奴らは怯えたように後ずさった。

そして、

ドカッと隣の机を蹴った。

ガシャーンと床に椅子と机が叩きつけられる音と、女子の悲鳴が響き渡る。

『研磨に何してんの、ねぇ』

ギロリと睨むと3人は『ひっ！』と声をあげた。

『何してんのかって聞いてんだけど』

研磨『ね、ねぇさん、もういいよ…』

『研磨…』

研磨が長い前髪の隙間から不安げな目を見せた。

男子『い、今のうちだ！』

男子『逃げろ！』

男子『覚えてろ！』

そのすきに男子達が逃げていくのを見て、周りも一安心して散っていった。

あんなのただの腰抜けなのに、誰も研磨を助けてくれないのね。

蹴った机を戻して、研磨の顔を覗き込むようにしゃがんだ。

『研磨、大丈夫？』

研磨『…喧嘩はやめてって言ってるのに…』

『おねーちゃんがおとーと守るのは当たり前だもん』

研磨『双子じゃん…』

『双子でもおねーちゃんはおねーちゃんだし。
じゃあまたね』

研磨に手を振って、教室を後にした。