猫かぶり少女の憂鬱

気心知れた ページ8

放課後が近づいてくる。

放課後に近づくほど、皆元気に見える…

───今日は金曜日。

放課後から日曜日にかけては休み。

学生にとって嬉しい日だ。

浮かれるのも仕方ないか。

何にせよ、せっかくの休日。

…ここ最近、趣味のひとつである

お買い物に行けてなかった。

あ「…明日お洋服見に行こっと」

私は、"ぽそり"とつぶやいた。





あ「ん〜〜〜」

私は猫背。

机に向かって凝り固まった上半身を大きく伸ばす。

業「ほんと、"猫"みたいだねぇ。Aちゃん」

この人は距離感といい、性格といい……！

あ「机の上に足上げたり、袖口にナイフ仕込む不良に言われたくない」

業「アレ？褒め言葉だったのに。あ、犬派？」

あ「……………」

周りから見たら、私がおかしい返答でしょうけど。

思わず貼り付けた笑顔が崩れる。

業「放課後面白いのが見れるよ」

どうせひとりで帰るんでしょ

と、いらない一言を付け足した。

あ「待っとけ。ってことでいいの？」

業「話が早くて助かるよ。あの崖のとこね」

じゃあねぇと、右手をヒラヒラさせて

業くんは教室を出ていった。

あの様子だと、

他のクラスメイトに声をかけては無さそうだ。

急いで帰るふりをして、校舎の裏に隠れる。

他の人に見つかると厄介…

潮「あれ、神楽さん？」

あ「渚くん…」

見つかった。

潮「こんなとこで何してるの？」

渚くんなら…業くんと仲いいし。

言いふらすほど馬鹿じゃない。

理由を話した方が、自然だろうな

と踏んで、

あ「業くんから"放課後面白いのが見れる"って言われて、待たされてるの」

潮「やっぱり」

やっぱり？？

予想外の答えで思わず首を傾げる。

潮「僕、業くんと一緒に帰ってるんだけど」

あ「うん」

潮「今日はちょっと面白いことするから待っててって…」

どうやらこれは…

あ「同じ要件みたいね」

渚くんと私。

渚くんほどではないけど、多少の仲の良さ(？)

…仲は良くないな

気心知れた、

人だけ呼ばれてる？

あ「何となく嫌な予感がまた当たりそう」

潮「嫌な予感？」

あ「女の勘？かな。当たるかわかんないけどね」

と苦笑いをしてみせた。

渚くんはまぁ、業くんだし何かありそうだよね

と話すと、

潮「そういえば、"業くん"呼びになったの？」

おっ…と。

あ「あー…うん。なんでかわかんないけど、向こうが名前呼びに変えてきたから…。合わせた方がいいかと思って」

事実。これは事実。

端折りすぎてるだけで………。

逆も然り→←仲良くしようね

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