猫かぶり少女の憂鬱

好きって言って ページ12

あ「えっ…な…何…」

絞り出して出た、掠れた声。

自分でもなんで涙が出たのか分からない。

業「…」

…何も話さない。長い沈黙。

イヤホンをしまいながら、

ぼーっとしてる頭を回転させて話す。

あ「コンタクトにゴミ？が入ったみたいで。何でもないよ？」

実際この1粒しか流れてない。

まだ、言及されにくいまともな答えではないか。

とは思ったが…この言い訳は我ながら呆れる。

どこぞの少女漫画のようだ。

業「…あっそ」

素っ気ない返事。

あ「用があってきたんじゃないの？」

調子を戻しかけて、

業「……分からない」

あ「分からない？なのに走ってきたの？」

業くんは"うん"とだけ言うと、

私の肩を掴んだまま。

お互い見つめ合う不思議な時間が流れる。

………気まずい………

──こう見ると業くんって黙ってればそこそこ…なんて。

そんな考えは振り捨てて。

私用があるからって口を開こうとすると

業「俺が…嫌い？」

あ「え」

思いもよらぬ言葉が彼の口から飛び出る。

返しに困った私は─

あ「なんて答えて欲しい？」

馬鹿らしい質問返し。

まぁ、この人の事だ。

何か面白い回答でも聞きたいだけだろう。

それなら先手を打つだけ。

業「好きって言ってよ」

業「俺は好きだよ。Aちゃんのこと。」

………身体がじんわり暑い。

この人に限ってそんな事、言わな、い、よね…？

──勘違いするよ業くん。

何か言わないと、業くんの雰囲気に飲まれそうで。

あ「業くんのこと…」

業「うん」

リュックの紐を握りしめる。

"友達として"と前置きを置いて

"言って欲しい言葉"を告げようとした時。

殺「青春ですねぇ。ニュルフフフ」

………いる！！！

ナイフをさぐって投げる。

業くんも同様、弾を撃ったようだ。

…案の定、当たりはしないものの。

殺「せんせー。生徒の成長を見守りたいだけなのに！！2人して怖いじゃないですか！！！」

びっくりしたのか、動悸がすごい殺せんせーが立っている。

業「いいとこだったのに…」

あ「良くない！！って先生いつから…！」

ツッコミが追いつかない！！

殺「殺気が！殺気が凄いです…！！先生今なら殺されそう…！！！」

ひぇぇ:( ;´꒳`;)と声を上げる殺せんせー。

に、付け足して

殺「"業くんのこと…"からですね！」

あ「開き直ったな!?…勘違いするとこから聞くなよ…先生。言いふらしたらほんとに殺す…」

殺「神楽さんから初めて殺すって…！先生感激です…！」

もうやだ…

さっきの返事→←死なせないで

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