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そう思うからこそ、私は何もせず大人しくしていた。
しかしリクオやその側近たちは馬鹿正直に瓦礫から出てくる。



「立ってくるたぁ〜、いい度胸よ!!」



まずい。また、土蜘蛛にスイッチが入ってしまった。
無意識に出た舌打ちと共に自分も瓦礫をかき分けて出る。



「もっともっと楽しませてくれ!!」

「来たぞ!!」

「心せよ皆の者!!」

「黒田坊!愚か者!!!リクオを止めぬか!!!!」

「奥方様、大丈夫です若ならば」



リクオの魅せる業、『鏡花水月』
ああ、鯉伴とそっくりだ。
だが違う、なぜ気づかん。
鯉伴とでは年季も違えば妖力もまた違う。
何よりリクオは相手の強さを理解しておらん。
闇雲に突っ込んだところでそんなもの────



「こざかしいわ!!!」



言ったそばから、リクオは簡単に畏れを破られ土蜘蛛から袋叩きに合う。
蹴られ、殴られ、地面にたたきつけられ。
その度に血があちこちへ飛ぶ。



「 」



言葉が出てこなかった。
手も足も、指も、口さえも動かなかった。
愛おしい孫が血まみれにされる姿に。
ただ、指先と唇が震える。

そんな私を抜くように百鬼たちはリクオを離せと、土蜘蛛へ刀や槍を突き刺す。



「あん?待ってろ。百鬼残らず喰ってやる。
順番に、一人ずつな」



リクオ



私の、大切な



私の、可愛い鯉伴の、子



私の、孫



「こいつみぇにな」



潰された。
あの子が。私の、宝が。



「次はおめーだ、女」



土蜘蛛の標的にされたのは、つらら。



「リクオ様の、カタキ…!!!」



守らねば。私の(鯉伴)の、(息子)を。
私の、奴良組を。ぬらりひょんの宝を。



「つらら、逃げろ!!!!」



私の声など届かない。
土蜘蛛の拳を真正面から受けたつららは吹っ飛ぶと、その先にいたのは、潰されたはずのリクオ。



「リクオ様だぁ………よかったぁ…
生きてらっしゃったんのですね……よかった…
本当に…これで…また守れ…ます…」



つららはそのままずるりと崩れ落ち、気を失った。
私はすぐにその場へ走る。



「てめぇぇは…
んだ…まだ生きてやがったのかああ!?」

「ゴフッ……てめーが殺し損ねたんだろ…」

「リクオ!つららを渡せ、治療する!」



リクオから出る、強い畏れ。
そしてそこにあるのは、"怒り"



「こいつらは…オレの部下だ…
オレの畏についてきたやつらなんだ…
ボクが生きてるうちは…こいつらに手ェ出すんじゃねぇよ…」


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棘くん(プロフ) - 更新ありがとうございます!!! (2021年5月30日 16時) (レス) id: 187c3c8143 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!!早速読ませてもらいました!次も楽しみに待ってます!頑張ってください! (2021年5月30日 12時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 紅葉さん» 紅葉様。応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします笑 (2021年5月30日 11時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 更新ありがとうございます!これからどんな風に話が進むのか楽しみです!頑張ってください!! (2021年5月22日 18時) (レス) id: 105efbdf0c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ▼とある黒兎さん» 更新をお待ちいただきありがとうございます!ゆっくりですがちゃんと更新しますので、これからもご愛読くださいませ。 (2021年5月22日 18時) (レス) id: 088474bcfb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年11月12日 18時

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