ドライカレー ページ47
鍋の中には、朝作ったカレーが残っていた。
これだけあれば、新たに作る必要はなさそう。
同じく、朝炊いたご飯の残りも十分ある。
その残ったご飯とカレーを合わせて炒めて、ドライカレーにする。
まず、カレーの具材が若干少なくなっているので、合挽き肉とタマネギを炒める。
木べらで焦げないように混ぜていると、ふわっとお肉のいい匂いがする。
合挽き肉が赤色からこげ茶色に変わるとき、いつからか現れて、泡のように弾けてはまた現れる油も私のお腹の唸りの原因となる。
タマネギもあめ色になるまで炒める。お肉の油も相まって光沢が出てくる。
この世のものとは思えないくらい神々しい光を放つタマネギ……。
かすかにタマネギのあま〜い匂いが漂ってきたら、ご飯を投入。
続けてカレーも入れちゃう。
塊になったご飯を木べらで切り崩しながら炒めると、どんどんカレー色に染まっていく。
それと同時に、ドライカレーの刺激的な匂いを含んだ白い煙が台所中に広がり、食欲を加速させる。
十分混ざったら火を止めて予熱に任す。
「すっごくいい匂いがするんだけど! 何作ってるの?」
今にも口からよだれを垂らしそうな顔のマノンちゃんがフライパンを覗き込む。
「カレーオムライスだよ。ドライカレーをチキンライスの代わりにするんだ」
「ねえ、味見していい?」
いたずらっ子のような笑いを見せるマノンちゃん。
もちろん拒否なんてできない。
「いいけど、熱いから気を付けてね」
小皿に少量の出来たてほやほやドライカレーを盛り付け、箸と一緒にマノンちゃんに手渡す。
「いただきま〜す!」
美味しそうに頬張る彼女の口から出た言葉は……
「熱い!!」
急いで水道の水をガバ飲みするマノンちゃん。
「だから言ったじゃない……」
「でも美味しい! 熱さに負けないくらい美味しい!」
試しに私も食べてみる。
舌にずんとのしかかるお肉と、対してとろけるように崩れてくるパラパラのお米の二重奏……!
タマネギの甘みがカレーのピリ辛さを際立たせて、まろやかかつスパイシーという不思議な感覚に誘われる。
うん……美味しい!
「後は卵で包むだけだから、もう少しだけ待っててね」
「わかった!」
マノンちゃんは台所をあとにして、アランとダイゴさんにドライカレーの感想を伝えにいった。
さて、たまごたまごっと。
冷蔵庫から卵4つを取り出す。
ドライカレーを皿に取り出して、空になったフライパンに溶き卵を流し込む。
こっからは時間勝負!
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時