分からないよ ページ37
「まだ『コンセンレート』の効果は薄い。もっとA君の脳波に近づけるために、A君の脳波を変化させてデータを集めよう。アラン、これを」
そう言われて代表から渡されたのは、カプセル状の薬品のようなもの。
「しかし、代表それは人体に使うには危険すぎます!」
研究員が珍しく代表に反論する。
代表はさほど気に留めず、俺への説明を続ける。
「確かに副作用による被験者へのリスクは伴う。しかし、後遺症はないと思われる。もし副作用が出ても、数日安静にしておけば健康面での被害はない」
「代表……っ!」
研究員が何か言いたげだったが、代表はそれを制した。
「これは脳波を人為的に変化させて、脳の状態をより詳しく知ることができる薬品だ。これを使用することによって、我々の研究はもちろん進展し、A君だってさらに強くなることができる」
脳波をコントロールすることによって、「最強」の脳波に近づけるということか。
「これを使うかどうかは、アラン、お前に任せる。先ほども言ったが、この行為は高いリスクを伴う。よく考えて、お前が判断しろ」
「…………」
危険を伴うがAを強くしてあげるのか、このままでいるのか……。
「この研究を未完で終わらせるのか、被験者の安全を優先するのか」
代表が去り際に、俺だけに聞こえるよう言い放った。
代表は、やる気だ。声に力が入っている。
――俺が諦めたら、代表を裏切ることになる……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【A視点】
なんかよく分からないままバトルを中断されて、なんかよく分からないまま検査された。
どう考えたって、アランの様子がおかしい。
私をここに連れて行くとき、すごく怖い目つきだった。
瞳の中に闇が映りこんでるみたいで。
すごく、辛そうだった。
でも私が検査されてるときは、ちょっとだけその感情が静まってたように思える。
安心感みたいなものが表れたような。
脳波検査が終わって、アランはすぐに研究者の後をついて行ってしまった。
まだ眠かったけど、そのときの彼の真剣な表情は、確かに私の瞳に映された。
《まったく、あの人は……》
アランの帰りを待っている間、ふいにシズカが呆れたように吐き捨てた。
――シズカ、私、分からないよ。アランの考えてること、全く分からない。
どうしてこんなことをするんだろう。
《本来の目的を忘れているというか、空回りしているというかね。私にも分からないわ》
シズカでも分からないんだ……。
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エビピラフ - すごくすっごく面白いです!!それに、キュンキュンしますね〜。これからも更新頑張って下さい!!! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 44e702c603 (このIDを非表示/違反報告)
リオン(プロフ) - カレーオムライス…とてもおいしそ〜とても食べたくなってきました! (2016年8月6日 11時) (レス) id: 6bba43ef19 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 良かった。アランは、主人公に薬を飲ませなかった。安心しました。((o(^∇^)o)) (2016年8月4日 5時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠美 - 駄目。飲んじゃ駄目。その薬を飲んでしまたら、主人公は、壊れてしまう。アラン止めて。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 黒乙女ありすさん» コメントありがとうございます! 主人公の考えとしては、『本当に美味しいカレーなら、飽きなんてこない』ってことなので、3日連続でも彼女にとってはむしろご褒美です(笑) (2016年8月1日 19時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年7月20日 7時